私は幼い頃から
毎日のように父と母から暴行を受けていた。
悪いことをしていなくても暴行を受けた。
数学のテストで100点を取っても、
字が汚いという理由で暴行を受けた。
家の中が汚いので掃除をしたら、
勝手に物を動かすなと、暴行を受けた。
何をしても暴行を受ける日々。
私は何が正しくて、
何が悪いことなのか、
分からなくなっていた。
精神的にも追い詰められていたと思う。
学校帰りの駅のホームで、
掲示板に貼られていた一枚の紙。
そこに書かれていた文が、
私の目に止まった。
『誰にでも親切にしましょう。
親切にすれば親切で返ってきますよ。
TRY・親切!』
家に帰宅するなり、
制服が汚れていると、
母に暴行を受けた。
父からは、
お母さんを困らせるんじゃない、
と、便乗による暴行を受けた。
私は『親切』という言葉を思い出した。
もう明日から私は暴行を受けなくて済む。
ふふふ
【解説】
語り手は「親切」を
「親を切る」と解釈した。
親を切って殺したため、
明日から暴行を受けなくて済むと考えていた。
「親切=親を切る」
と考えてしまうほど
精神的に追い詰められていたというのが悲しい…