どーも!
みんな、私のこと覚えてますか?
え?覚えてない?
まあ、ダイエット成功したし、
日本語上達したから
同一人物だと思われないのも当然ですね!
ほらー、あの「にがりダイエット」した留学生ですよ!
あっ、今すごい
「あー」「あの子ねー」
って声が聞こえる。
去年は私がボーッとしていたばっかりに、
ルームメイトが一人亡くなってしまって…
ルームメイトのボーイフレンド、
数ヶ月くらい立ち直れなかったんだよね。
でも、今年の夏はハッピーに楽しく過ごしたいね!
ということで、
寮のみんなで、
これぞ日本の夏!
流しそうめんをやってます!
主催は私だよ☆
そうめんを台所で茹でて…
庭に持って来て流して…
また追加のそうめん茹でに台所に戻って…
いや~忙しい。
私一人、涼しくないわ。笑
でも、たくさん友達が来てくれて嬉しいな!
あんなに買ったそうめん、
どんどんなくなってってるもんね…
みんななかなかうまくキャッチできなくて、
バケツの中に落ちたそうめんとって食べてるけど。笑
まあ、最近はお箸が上手に使える外国人が増えたよね~。
さて、またそうめん茹でに戻らなきゃ。
「おーい、割り箸も一膳お願ーい!落としちゃったー!」
あ、割り箸も必要なのね。
はいはい、そうめんと割り箸持ってきますよっと…
あれ?
しまった、忘れ物しちゃった。
これがなきゃそうめん茹でられないじゃーん!
戻んなきゃ…
…
ゴフッ!
バタッ!
きゃー!オーマイガーッド!
ざわざわざわ…
ん?何だろう、庭の方が騒がしいな。
あっ!
「マイケル!しっかりしろ!」
「救急車を呼べ!」
「水だ!水を飲まて吐かせろ!」
何?!
マイケル、何か変な物食べたの?!
友達の一人が救急車を呼んで、
マイケルは病院に搬送されていった。
マイケルの両親にも連絡してくれたようだ。
流しそうめんをしていたメンバーはパニックになり、
あーだこーだと騒いでいる。
食中毒?
でもみんな同じ物飲み食いしてたよね…
と、とにかく流しそうめんしてる場合じゃないや。
片付けよう…
他のメンバーは寮の中に入り、
まだざわざわと事件のことを話していた。
私は、
「私がこんなこと企画したから…
また私のせいで犠牲者が…」
と罪悪感で泣きたい気持ちに駆られながら、
割り箸と茶碗を片付け始めた。
ふと、ひっくり返ったマイケルの茶碗と箸に手を伸ばしたとき、
私は全てを理解した。
そして、
背後に冷たく笑う誰かの影を感じ、
ゾクッとした。
【解説】
語り手の忘れ物は「菜箸」。
流しそうめんで菜箸を使っていたけれど、
そうめんを茹でる時にも使うから
語り手は一度引き返した。
しかし、
忘れ物(菜箸)に気づいて引き返した時には
すでに事件が起きていた。
何が起こったかというと
語り手がいない間に
犯人が菜箸に毒を塗っていた。
毒のついた菜箸で
語り手がそうめんをつかんで流せば
その場にいる人達が軽度の食中毒になる。
犯人の目的は
食中毒の原因が語り手にあったと思わせ、
語り手が周りからバッシングされることだった。
犯人は亡くなってしまった
ルームメイトのボーイフレンド。
犯人は無差別に殺そうとしていたわけではなかったが、
マイケルの行動が想定外だった。
犯人は菜箸に毒を塗って
流れそうめんによって毒が薄まる予定だったが、
マイケルは箸を落としてしまったために
代わりに菜箸でそうめんを食べてしまった。
そのため、
マイケルは直で毒を口に含んでしまい、
病院送りとなってしまった。
これで語り手が罰せられれば
犯人は結果オーライだろうが、
罰せられなければ、
語り手が犯人に気づかない限り、
繰り返し行われることになるだろう。