私は生まれながら大きな病気を持っている
しあわせだよ
ママとパパは優しいから
2才ぐらいから徐々に目が見えなくなって
今では顔ははっきり見えないけど
いつもいつも私を見て笑ってくれてる
しあわせだよ
ママとパパの声は
耳が不自由な私でも聞こえるように喋ってくれる
しあわせだよ
片手がなくなっても
ママとパパは私が食べやすくして口に運んでくれる
だから今ママとパパに内緒で練習してるんだ
いつもママとパパがしてくれてることをしてあげるの
だってもうすぐ母の日父の日だもん
…………ママパパしあわせでしょ?
あっママもう寝ちゃうの?
だめだよ起きて~
まだいつもしてくれてる半分もできてないよ~
これ切り終えたらすぐごはんだよ♪
【解説】
語り手は親に虐待されている。
病気ではなく、暴力で目が見えなくなり、
耳も大声による罵声などで
不自由になってしまった。
親が笑いかけていたのは
その行為を楽しんでいたから。
語り手は学校に行くこともなかったため、
それを異常なこととは思っておらず、
大きくなった子供はそれが普通だと思っていたため、
二人に同じことをした。
『あっママもう寝ちゃうの?』
『これ切り終えたらすぐごはんだよ♪』
お母さんがそろそろ死んでしまいそうな状況だが、
これから手を切り落とされるだろう。
そのまま死んでしまいそうである。
しかし、語り手は復讐のためではなく、
純粋に親に喜んでもらいたいからやっている。
語り手は虐待されながらも
考え方としては幸せだったのかもしれない…。