『放課後、焼却炉まで来てください』
俺はそんな手紙を貰った。
登校したら
下駄箱に手紙なんて都市伝説だと思っていたけど、
嬉しかった。
その、凄く。
俺って嫌われ者だと思っていたから尚更嬉しくて、
掃除が終わると同時に焼却炉に直行。
いつもなら面倒に感じる黒板消しをパンパンする作業も
この時ばかりは苦じゃなかった。
そして、焼却炉前に着いた。
まだ誰もいない。
走ってきたからか心的要因からか、
秋だというのに暖かい。
俺は待った。
ワクワクしながら待った。
待ったが、誰も現れない。
もしかしてイタズラだったのかと疑い始めた時、
近くの植え込みの枝に砂まみれの紙切れが結び付けてあるのに気づいた。
それには、
『焼却炉を開けて』と書いてあった。
ははん、さてはこの中にいるんだな。
ドキドキしながら開けようとしたら、
取っ手が熱くて驚いた。
煙は出ていないが、
中で何か燃えているのか…?まさか…!?
俺は木の枝を拾い、
それを使って焼却炉の蓋を開けた…。
【解説】
焼却炉を開けたら
そのままどかーんと
バックドラフト現象が起きてしまい、
語り手はそのまま死んでしまっただろう…。
中で何かが燃えているはずなのに
煙が出ていないということは
排煙口が塞がれているということ。
語り手は人を待っていたため
ある程度の時間が経っており、
その間に中のものは燃え尽きている。
それにより一酸化炭素ガスが溜まり、
そこに酸素を送りこむことで
その場はたちまち火の海になってしまうような
バックドラフト現象と呼ばれるものが起きてしまう。
呼び出した人はそれを知っていて
語り手に焼却炉を開けさせたのだろうか…?
だとしたら、
本当に悪魔のような人である…。
仮に知らなかったとしても
あまりにひどいイタズラである…