母「今年はさくらんぼ少ないわねえ」
私「えっ、そうなんですか?!こんなにあるのに!」
父「これでも少ない方なんだよ。
去年はこれの4倍はとれたからね」
さくらんぼの木は家と柵の間に立っていて、
家の陰になってしまうことが多かったのかもしれない。
今年は去年より暖かく、
晴れの日も多かったのに、
我々は少しがっかりしていた。
とても背の高い木で、
さくらんぼを取るには
これまた背の高いはしごを使わなければならない。
枝も伸び放題で、
柵を越えてとなりの敷地にまで伸びている。
幸い隣は草がボーボーに生えているような空き地なので、
誰に迷惑をかけているわけでもないんだけどね。
母「さて、じゃあ今週末は冬に備えて
さくらんぼのジャムを量産(笑)するわよ♪
さくらんぼとってきて」
夫&私「はーい」
首から小さいバケツを下げて、
私ははしごをのぼろうとした。
父「待ってアリス、
そのはしごじゃなくて、
新しいはしごを出そう」
私「え?」
父「そのはしごは何年も使っていて、
そろそろ限界だと思うんだ。
見てごらん、一番上の足場が外れているだろう?」
私「あ、ほんとだ。
よかった、知らずに使っちゃってたら危ないところでしたね」
夫「新しいはしごを持ってきたよ。
さあ、アリス、どっちがいっぱいとれるか競争だ!」
私「ずるいよ!身長197cmある人に勝てるわけないでしょ!笑」
まったく、
それにしても今年はさくらんぼは少ないのに
ハエの多いこと。
しっしっ、あっち行け!
【解説】
『今年はさくらんぼ少ないわねえ』
誰かがさくらんぼを盗んでいた。
そして、
『ハエの多い』のは
死体にハエがたかっているため。
では、どこに死体が?
それは
「柵を越えたとなりの敷地の空き地」
である。
さくらんぼ泥棒は古いはしごを使ったものの、
一番上の段に足をかけた時に足場が崩れ、
空き地側に転落し、打ちどころが悪く、死んでしまった。
それに誰も気づいていない。
臭いでわかりそうなものだけれども…。
すぐそばに死体があると知った時は
ゾッとしてしまいそうである。