俺は頭を抱えていた。
お袋が部屋に入ってくる。悲鳴を上げて出て行く。なんだっての。
兄貴が部屋に入ってくる。目を剥いて倒れた。おいおいおい。
親父が部屋に入ってくる。泡を吹いてドアを力任せに閉めやがった。
家族はみんなとち狂ったのか?
窓から外を眺める。
今日はいつにもまして空が高いなあ。
【解説】
文字通り首を斬って
『頭を抱えていた』
誰かの死体の首かと思ったが、
そうなると兄が目を剥いて倒れたり、
父が泡を吹いたりなどはちょっといきすぎなのではないか…と思う。
まぁ、私なら生首を見ただけで失神しそうだが…
この兄と父も私みたいな小心者だったのだろうか?
それもあるかもしれないが、
おそらく抱えていた首は他の誰かのものではなく、
語り手のものだったのだろう。
『今日はいつにもまして空が高いなあ』
は物理的に頭を抱えているから
空が高く見えている。
…自分の頭を抱えている語り手なんてみたら
そりゃ卒倒しますわ…