【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ

【意味怖】意味がわかると怖い話を読んで頭の体操を!捉え方は人それぞれであり、答えは一つであるとは言えません。解説も答えではなく、一つの捉え方。あなたがどう捉えたかを教えていただけると幸いです。


【意味怖】コーヒーと葉巻

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10年前に私から多額の金を借りた揚句、

やくざに追われてトンズラしたあいつから手紙が来た。

 

手紙の内容は、今自分は末期の癌で余命いくばくも無い事、
この手紙が君の家につく頃には自分はこの世にはいないであろう事、
そして私に酷い事して済まなかったというお詫びの言葉と、

 

もし許してくれるなら
もう一度君とお気に入りの葉巻をふかしながら珈琲が飲みたい、
でもこの身体ではそれも無理。

 

だからせめて珈琲を飲む時僕の分までつくって欲しい、
そして灰皿に僕の好きな銘柄の葉巻に火を付けて置いといてくれと。

 

確かに嘘つきで酷い男だった、けれども何故か憎めない奴だった。

 

私は奴の供養のつもりで二人分の珈琲を入れ
一つをテーブルの奥に置き、テーブルの灰皿に火のついた葉巻を添えて、
私はテーブルの手前に座ると彼の為に冥福を捧げようと珈琲を飲もうと瞬間

 

バッターン!!!

 

いきなりやくざ風の男が私の部屋に二人入って来た!!


「おい!お前!あの野郎見なかったか!匿ったらただじゃおかねえぞ!」

 

『兄貴!テーブルの上見てください!』

 

「てめぇー逃がしやがったなあ~!!」

 

私の最後に聞いた音が、銃声になるとは思わなかった。

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

『嘘つきで酷い男』だった「あいつ」は
自分が癌であることを偽り、

 

コーヒーを2つ、
そして「あいつ」の好きな銘柄の葉巻を置くことで、
あたかも「あいつ」がさっきまでここにいて、
語り手が逃がしたように思わせた。

 

ヤクザから逃げるための時間を作るのと同時に
語り手に借りていた多額のお金まで
踏み倒すことに成功、と言えるだろう。

 

多額のお金を貸したのにきちんと供養を考え、
『憎めない奴』と表現しているのだから、
語り手は良い人過ぎて騙されやすかったのだろう…。

 


それにしても…やくざ風の男たちも
逃がしたと思ったのであれば、
すぐに殺さずに居場所を聞けば良いのに…。

 

感情が昂ぶると冷静な判断ができなくなるものだから
仕方ないですかね…。