萩野が羨ましい!俺だって彼女が欲しい!
だが、その口癖とは今日でおさらばだ。
なんたって下駄箱に手紙が入っていたからな。
(ずっと好きでした。私と付き合って下さい。五木真子)
そして今メール中。
家に帰った後、
手紙に書いてあったメアドに即メール。
五木真子ちゃんはモロ俺のタイプ。
そういえば、女子どもにいじめられてた。
可愛すぎるのも罪だな、
俺が守ってやるよ。
(ありがとう。
メールじゃなくて明日学校で話したいです)
もちろん!何だったら一緒に死んでもいいよ!
大げさな台詞を吐いた事を後悔しながらメールを待った。
萩野にメールしてやろうかと思ったが、
あいつの台詞を思い出した。
(平戸琢弥、お前は口数が多い。命を落とすぞ)
イケメンは言うことがちがう。
午前9時。
今までで一番の遅刻だ。
煩いパトカーのサイレンで目が覚めた。
普通なら休むところだが、
真子ちゃんが待っている!
それにしても、今日はパトカーが多い。
「今日のニュースです。
県立OO高校で今朝、
女子高生が同級生の男子生徒を刺殺するという事件が起きました。
刺されたのは萩野悠さん18歳。
刺した女子生徒は一緒に死んでくれると言ったのに
朝になったら身に覚えがないと言われ、
逆上して持っていたカッターナイフで首を刺したと供述しています。
萩野さんは出血多量死亡しました」
【解説】
五木さんはいじめにより
精神的に疲れていた。
そこで希望を求めたのか、
好きだった萩野くんに手紙を書いたものの
語り手と下駄箱を間違えた。
そして、語り手が勘違いをし、
さらに余計なことを言ったため、
語り手は萩野くんという友人を失ってしまった。
余計な一言ではあったけど…
下駄箱に入っていたし、
宛先もなかったんだから勘違いするよね。