【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ

【意味怖】意味がわかると怖い話を読んで頭の体操を!捉え方は人それぞれであり、答えは一つであるとは言えません。解説も答えではなく、一つの捉え方。あなたがどう捉えたかを教えていただけると幸いです。


【意味怖】甘いんだよ、お前は

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『お前は本当に甘いよな。社会で生きてけねぇぞ』

 

詰めが甘い俺に忠告してくれたのは、
いつも友達のタツヤだった。

 

毒舌だが、優しいタツヤ。

 

そんなタツヤとあそんだりしていたしていたが、
高校の時タツヤの両親が急に毒殺された。

 

警察は死因がわからない、と言っていた。

 

そんな訳でタツヤは遠くへ引っ越してしまった。

 

去るとき、タツヤは俺に何も言わなかった。

 

俺はセンター試験で
最後の最後で計算ミスをして2浪してしまった。

 

詰めの甘さが祟った。

 

父親は激怒し、俺を勘当した。

 

親からの援助がなくなった俺は、
独りで東京に住んだ。

 

慣れない街で生活していたら、
いつの間にか借金まみれになっていた。

 

そんなときだ。

 

ボロアパートに
スーツ姿のタツヤが乗り込んできたのは。

 

久しぶり、と言ったタツヤは俺の腕を引き、
アパートの下に止めてあった車に連れ込んだ。

 

車の中で殴られた俺は気を失った。

 

何人かスーツ姿の人間がいたと思う。

 

気がつくと
回りがコンクリートの壁の冷たい部屋で椅子に座らされ、
縄で縛られていた。

 

『よお、俺覚えてる?タツヤだよタツヤ』

 

「ああ。覚えてるよ」

 

『お前はやっぱり詰めが甘いよなぁ。
借金まみれで俺らの組に捕まるとはなぁ』

 

「詰めが甘いのはどっちだよ。
おまえの人生も落ちぶれたもんだ。
ヤクザの仲間になるなん…」

 

タツヤはそう言いかけた俺の口元を強く殴った。

 

『俺も好きでなったわけじゃねぇんだよ!
…話を進めようか。
借金にまみれたお前に救済策を与えてやるよ。
おい』

 

タツヤが合図をすると、
黒スーツ姿の男二人が黒い革袋を持ってきた。

 

中には何か入っているようだった。

 

『ゲームをしよう。
これからナイフを渡す。
それならこの袋を突き刺せ。
何度もだ。
それができたら借金、チャラにしてやっからよ』

 

タツヤは笑った。

 

俺は縄を解かれナイフを渡された。

 

俺は袋を何度も、何度も突き刺した。

 

破れた袋から出て来たのは、
血まみれの俺の母親だった。

 

『…袋を開けてダメ、とは言ってなかったよな、俺は。
お前の母親が俺の両親を絞殺したのを知ってんだ。
親友な訳がないだろ。
殺人犯の息子なんてなあ!』

 

タツヤはほくそ笑んだ。

 

『甘いんだよ、お前は』

 

俺はナイフをタツヤに突き立てた。

 

 

警察だけでなくヤクザにまで追われるとは。

 

罪を着せるのは違う人間にすればよかったか。

 


やっぱり甘いな、俺は。

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

語り手は

『タツヤの両親が急に毒殺された』

と言っているのに、タツヤは

『お前の母親が俺の両親を絞殺したのを知ってんだ』

と言っている。

 

つまり、語り手がタツヤの両親を毒殺して、

それを母親が絞殺したことにしたのだろう。

 

 

そして、今回もタツヤを殺した罪を母親になすりつけたが、

その結果、警察だけでなく、ヤクザにも追われるようになってしまった。