【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ

【意味怖】意味がわかると怖い話を読んで頭の体操を!捉え方は人それぞれであり、答えは一つであるとは言えません。解説も答えではなく、一つの捉え方。あなたがどう捉えたかを教えていただけると幸いです。


【意味怖】ヘッドフォン

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自称発明家の友人が、俺の誕生日に
『ひとの心の声が聞こえるヘッドフォン』
を作ってくれた。

 

俺は早速つけてみた。

 


――オ腹スイタナ

 

機械が作ったような声が聞こえた。

 

「うわっ!ほんとに聞こえた!お腹すいただって!誰の心だ?」

 

『外にいるひとじゃね?』

 

「すげーっ!でもなんでお前の心の声は聞こえないの?」

 

『…それは、俺がいま心で思ってることと
言葉で発してることが同じだからだよ(笑)』

 

「あーなるほど。」

 

それから俺はいつもそのヘッドフォンをしていた。

 


――今夜ハ、カレーカシラ

 

「母さん!カレーいいねー!」

 


―頭痛イ…

 

「顔色悪いぞ?保健室行くか?」

 


自分が超能力者になったみたいですごく楽しかった。

 

俺の誕生日の1週間後、
入院していたじいちゃんが亡くなった。

 

葬式でヘッドフォンはしなかったけど、
じいちゃんの声が聞けるかもしれないと思い、
お別れのときにだけヘッドフォンをした。

 

いつもの雑音はなく、
耳が痛くなるくらいシンとしていた。

 

それから
じいちゃんの声が聞こえた。

 

―『勇斗、強く生きろよ。
じいちゃん、いつでも見守ってるからな』

 

俺は涙が出た。

 


そして、そのことを思い出してしまうからと
半月くらいヘッドフォンは使わなかった。

 

『最近ヘッドフォンしてないのな』

 

俺にヘッドフォンをくれた友人が悲しそうに言ってきた。

 

俺は、しまったと思った。

 

そして、じいちゃんの話をした。

 

そのとき、友人が一瞬、
すごい顔をした気かした。

 

でも次の瞬間にはニコッと笑って
『また使ってな』と言った。

 


その日から俺はまたヘッドフォンを使い始めた。

 

そして、3日経った頃からだった

 

ヘッドフォンから変な声が聞こえてきたんだ。

 


―…ネ…シネ………ト…ネ

 

―シネ…シネ………ユウト……シネ!!!!

 


友人が見てる手前、外すわけにもいかず、
俺はずっとつけっぱなしにしていた。

 


シネシネシネユウトシネ………

 

(なんだよこれ……
誰かが心の中で思ってるってこと…?)

 

昼間ずっと聞いていたせいか、
夜中も不気味な声がリピートされて
寝付けない夜が続き、とうとう5日後…

 


「うわあぁぁああああぁぁあぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあああ」


『昨晩、東京都杉並区のマンション下で男子高校生の遺体が………警察は……』


―ユウト バイバイ

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自称発明家の友人は

語り手を殺すためにヘッドフォンを渡してきた。

 

語り手は

『ひとの心の声が聞こえるヘッドフォン』

と言われてそれを信じていたが、それは嘘だった。

 

ヘッドフォンには元々録音されていたものが入っていた。

 

友人が

『最近ヘッドフォンしてないのな』

と言ってきたのは、

まだ語り手が精神を病んでいなかったから。

 

語り手は

『友人が見てる手前、外すわけにもいかず、
俺はずっとつけっぱなしにしていた』

と言っているから、相当人が良いのだろう。

 

にも関わらず、

友人の殺しのターゲットにされてしまったのは、

悲しい限りである。

 

 

ちなみに

『オ腹スイタ』

『夕飯ハカレー』

『頭痛イ』

が噛み合っていた理由は、誰でも思うようなことだったから。

 

『夕飯ハカレー』と聞こえたとしたら、

これは母親の声だと思うし、

もしカレーが出てこなくても、

外にいた人の声だと思ったりする。

 

『ひとの心の声が聞こえるヘッドフォン』

と語り手が信じ切っていたため、

そうやって都合の良いように解釈していた。

 

 

ちなみに

おじいさんの話の時に

友人が驚いていたのは、

おじいさんのセリフなど録音していなかったから。

 

よってそれは、

本物のおじいさん(霊)の声だった。

 

だから、おじいさんの声だけは機械音じゃなかった。