今日は12月24日。
明日はクリスマスか…。
彼女がいない僕にとって、
クリスマスなど平日と一緒だ。
プレゼント、新しい靴が欲しいな。
今年も家族と過ごすのか…。
などと思いに耽っている学校帰り。
『~♪』
ん?母から電話だ。
どうせ「早く帰ってきなさい」とかだろ。
と、思いつつ電話に出る。
『もしもし、〇〇?』
「母さん、どうしたの?今帰ってるとちゅ…」
そこで、言葉が詰まった。
母が…泣いている。
「どうしたの?母さん。何かあったの?」
『あのね…〇〇。
父さんが…交通事故で…今、危篤だって…』
信じられなかった。
昨日まで楽しく話してたのに…。
「もしもし、母さん?今すぐ帰るね…」
そう言って、家まで急いだ。
家の居間には、
母と…急いで会社に向かったのだろうか、
父の携帯が置かれていた。
その後、母と一緒に病院を訪れた。
…が、既に父は…
誰よりも明るく、
うるさいくらいに喋る父。
今は…目を閉じて、安らかに眠っている。
「父さん、いつもみたいに喋ってよ…
いつもみたいに笑ってよ…。父さん…」
隣では、母が静かに泣いていた…。
無言のまま、母と二人で帰る。
その夜、僕は眠れなかった。
母も同じらしい。
母と居間に移動し、電気を点けた。
あれ…携帯がない。
代わりに一枚の紙が置かれている…。
『玄関!』
と書かれた、ただの字。
明らかに見覚えがあった。
その時…
『~♪』
不意に玄関から携帯のメロディが鳴った。
真っ暗な玄関の中央に…
父の携帯が置かれていた。
携帯を開け、中を見る。
アラームのようだ。
時刻はちょうど
「00:00」となっている。
そして…
書かれている内容を見て、
僕は泣き崩れた。
携帯と少し離れた所に包みがある。
そして…
『メリークリスマス、〇〇。
そして…ごめんな』
僕の足のサイズより、
少し大きめの靴と一緒に…
小さな紙がそこには置かれていた…
【解説】
死んでもなおプレゼントを渡したかったパパさん…。
プレゼントを買って帰る途中に
事故にあったのだろうか?
そうなると、息子の喜ぶ顔を想像して、
ウキウキしながら帰ってきていたことだろう。
そんな想いがあったからこそ、
死んだあとでも、どうにかプレゼントを渡したかった…と。