ある日、弟が亡くなった。
久しぶりに実家に帰って、
父に顔をみせようと思ったが、
あいにく今不在のようだった。
俺は、弟の部屋に入って
懐かしさと悲しさに浸っていた。
ふと、机の上を見ると
一枚の紙きれ。
見てみると、
こんなことが書かれてあった。
○月×日 兄さんへ。
父さんと母さんは元気だよ。
僕に前くまさんをくれたんだ
今度会った時、見せるね。
何か前うみに行ったんだ。
うれしいな。
俺は知って怖くなって
手紙を握りしめ、
部屋の窓から出た。
と同時に父が帰ってきたようだ。
【解説】
斜め読みで
「父会うな」となる。
弟は父に殺されてしまったのだろう。
語り手は玄関からではなく、
部屋の窓から出たのは正しい選択だったのかもしれない。
父に会うと何をされてしまうのだろうか…?
ただ、「父に会うな」と警告されても
その理由が気になるから
正直会ってしまいそうである。
そして、会わなければよかったと
後悔することに…。