いま私は駅前にいる。
そして私の隣には一人の男がいる。
その男は私の中学時代の同級生。
名前は…忘れた。
気まぐれに散歩にでた私は
駅前のこの広場で偶然
こいつと出会い
声をかけられたのだった。
その男が目の前を通った女子高生をみて
「携帯」とつぶやく。
確かに持ってたな。
いまどきの若い子は
どんなときにも携帯携帯。
まったく…
次に通ったのは
16~7歳くらいの男子学生。
彼は「子供の目」とつぶやいた。
確かに童顔だな。
いわゆる
ベビーフェイス
というやつか?
最近は童顔な子が多い気がする。
次に通った親父をみて
彼は「金」とつぶやく。
いやいや、あの親父は
どうみても金持ちではないだろう。
次は子供連れの主婦。
つぶやく言葉は「子供」
まぁ…子供だ。
次は綺麗な女性。
言葉は「指輪」
してたかな?
なにをこいつは
さっきからぶつぶつつぶやいているんだろうか。
私はついに我慢できなくなり
尋ねたのであった。
「お前はさっきからなにを
つぶやいているんだ?」
「僕がいってるのは
その人の一番のウ王、だよ」
【解説】
ウ王、 = 宝
宝として
これまでの人を見てみると、
・携帯
・子供の目
・金
・子供
・指輪
子供の目とつぶやいた男子学生は
子供の目をえぐり取って集めていたのだろう…
なんと恐ろしいことか…
ただ、ものすごく気になるのは
『ウ王、』とはどういう風に発音していたのだろうか?
普通に話していて
「、」に気づくことなんてないと思うのだが…
「ウ王読点」とか
「ウ王テン」なんて言われても
わけわからないし…
どんな発音をしていたのかが
一番気になるところである。