夜、俺が居間に行くと母さんが着信アリのホラー映画を見ていた。
夢中になっているのか俺の存在には全く気づいてないようだ。
俺はテーブルに置いてある母さんの携帯を見て思いついた!
これはイタズラするしかない(笑)
気づかれないように携帯を持ち出してお決まりの登録をしてもとに戻す。
あとは俺が電話をかければ呪いの着信音が流れ母さんの名前が表示されるはず。
まぁ、番号ですぐにバレるんだろうけどね。
早速実行するとビクッとする母さん。
おそるおそる携帯を手にとって画面を見ると真っ青になった。
しまいには「お父さーん!!」と叫びながら
親父のいる寝室へと駆け込むしまつ。
俺は笑いをこらえながら
2人の会話を聞くためにそっと近づき扉越しに耳をたてる。
「お父さん・・・あの子が・・・・あの子が!!!!」
「お前がそんなんでどうする!!疑われるだろう!!
もう少しで手にはいるんだからしっかりしなさい」
その瞬間、
俺の手に持ってる携帯がすり抜け音をたてて落下した。
【解説】
語り手は両親に殺された幽霊である。
そのため、息子がそばにきても
母親に気付かれることはなかった。
母親は殺したはずの息子からの番号がかかってきたため、
パニックになってしまった。
『お前がそんなんでどうする!!疑われるだろう!!
もう少しで手にはいるんだからしっかりしなさい』
という言葉を聞いて
語り手は自分が殺されてしまったことを思い出し、
手に持っていた携帯が持てなくなって地面に落下した。
両親に殺されたショックで記憶をなくしていた。
そして、殺された理由は言葉からもわかるように
保険金目当て。
保険金のために殺されてしまったら、
ショックで記憶がなくなってもおかしくはないなぁ…