彼女の麗奈から電話があった。
麗「実家で見つけた古い鏡見てから
鏡見る度に幽霊が…助けて…！」
最初はイタズラかと思ったが様子がおかしいので
俺は急いで麗奈のマンションに向かった。
家に着くと麗奈は布団にくるまり震えていた。
幽霊なんか信じて居なかったが、
あんまり言うので麗奈と一緒に洗面所の鏡を見た…。
やっぱり何も無いよ？
そう言おうとした時
麗奈がくしゃみをした。
少し下がった麗奈の頭の後ろから
何かがヌッと姿を見せた。
…髪の長い女。
顔は整形を何度も失敗したかの様に
クシャッと歪みきっていた…。
ギリッギリギリ…と歯ぎしりの様な音が聞こえ出し、
ヤバいのは分かるが全く動けない。
麗奈も目が虚ろになり鏡を覗き込んでいる…
次第に奴がゆっくりと
鏡から出ようとしているのが分かった。
俺は力を振りしぼり
鏡を叩き割った。
鏡女だ…
俺の地元に伝わる幽霊で
鏡を見るのが嫌だったから死後鏡の中に逃げ込んだらしい。
ヤツの除霊法はうろ覚えだが覚えていた。
麗奈の四方を鏡で囲んだ。
囲んで20分程経った時、
ヤツが鏡から飛び出てきた。
そして目を瞑り座っている麗奈の顔を
下から覗き込み出した。
ギリギリギリ…
またあの音を立てだした。
みるみるうちに麗奈の顔色が変わり
震えだした…
ダメなのか！
止めさせようとしたその時。
『死レ…カハァ！！』
苦しそうに奴が叫んだ！効いてる…！
「麗奈！もう少しだ頑張れ！！」
奴の体が縦や横に激しく揺れる。
『ギッッ…ツッ！！！』
奴が消えた。
除霊は成功した…
俺達は抱き合い喜んだ。
【解説】
四方を鏡で囲むことで、
自分の顔を嫌でも見せる。
鏡を見るのが嫌で
死後鏡の中に逃げ込んだ相手にしてみれば
拷問のような除霊法である。
ちなみに鏡女が叫んでいる言葉
『死レ…カハァ！！』
『ギッッ…ツッ！！！』
これを逆から読んでみると
「ツ ギ ハカ レ死」
つまり、
「次は彼氏」
である。
この後怖い目に合うのは
語り手の番である。
「幽霊に彼氏認定してもらえた」
というのがすごいと思う
自分の感覚はおかしいのだろうか…？
