やっと外の世界に出られた……
最後にこの空を見たのは
何百年前だろうか……
まぁ、そんな事はどうでもいい…
今回、ランプを擦って
呼んでくれたのは誰かな……？
「……兄ちゃん……本当に出てきたよ…」
「だな。まさか落ちてたランプ使って
アラ○ンごっこやろうと思ったら
本当に魔人出てくるなんてな……」
誰だ。私を捨てたやつは……
「でも、兄ちゃん…
この魔人、体の色が青じゃないよ？
偽物かな……？
アラジン○に出てくるのは青だったのに……」
全ての魔人が青だと思うな……。
それと、お前に関しては隠せてないからな？
「そんな事より願い言ってみようぜ」
あぁ、そうか。
説明してやらなくてはな…
「よくぞ。私を見つけ出してくれた。
変わりに願い事を3つ叶えてあげよう」
「うわぁ！！本物だよ兄ちゃん！！」
「……んじゃあ。そうだな……」
そして、兄弟は
1，昔から体が弱いお母ちゃんの体を丈夫にして欲しい
2，雨が降らなくて村のみんなが作物が育たなくて困っているから
雨を降らして欲しい
後ろで相談しあい
この2つの願い事に決めたらしい。
まったく、己の為に使わないとは……
「うわぁ！！雨だぁ」
「って、事は母ちゃんも！！」
安心しろ。
母ちゃんらしき人物が
村で雨に感謝しているのであろう………
奇怪なダンスを踊っている……
さすがに、
周りで踊っている村人も
引いているぞ……
「さぁ、最後の願いを言え」
すると、兄弟は顔を見合わせ頷きあい
「えへへ、最後は最初から決めてたんだ」
「最後の願いは……」
まさか、こんなに
お天道様を拝める日がくるとは……
「おーい、早くこーい」
俺は、桑を片手に持ち
一歩を踏み出した。
遠くから、
子供達の笑い声が聞こえてくる。
【解説】
兄弟は
長年ランプに縛られていた
魔人を開放してあげることに
願い事を使った。
魔人にはもう願いを叶える力はないけれど、
それでもみんなと幸せに暮らしました、という話。
長年ランプに閉じ込められるというのは
地獄そのものだと思う。
ただ、生まれた時から
ランプに縛られていたら、
特に気にしないものなのだろうか？
魔人に心の内を聞いてみたい。
