ある教会に世界を破滅させるという
魔法のランプが届けられた。
どんな願いでも叶うこのランプは、
世界に混乱を生む為教会で保管してほしいというものであった。
しかしこの教会の神父は、
この力を世界平和に役立てようと考えた。
半信半疑でランプを擦ってみる、
すると不思議な煙と共に魔人が現れ神父に語りかけた。
私はランプの魔人、あなたの願いを三つだけ叶えよう。
神父は驚いたが、世界の為に願いを使うことにした。
ではまず、貧困で苦しむ子供達がいる国をなくしてください！
神父は願った。
了解した。
そう言うと魔人は、
何か呪文を唱えながら腕を振りかざし、
暫くして神父に語りかける。
一つ目の願いは叶った。
次の願いを聞こう。
神父は悩んだが、二つ目には
この世から悪の心をなくしてください、
と願った。
了解した。
また呪文を唱えながら腕を振りかざし
同じように語りかける。
二つ目の願いは叶った。
最後の願いを聞こう。
神父は考えた末、
この強大な力を無くす為に
あなたに自由を与えてください、
と願った。
魔人は少し驚いたが、
不思議な光に包まれ感謝する、
と言い消えていってしまった。
神父はこれで世界は平和になると喜んだ。
しかしその日、
世界では大騒動が起こった。
特に刑務所では。
【解説】
『貧困で苦しむ子供達がいる国をなくしてください！』
により、貧困で苦しむ子供達がいる国自体が消滅してしまい、
『この世から悪の心をなくしてください』
により、悪の心を持つ人達の心がなくなってしまった。
心とは心臓とかそういうものだろう。
そのため、刑務所では大騒動が起こった。
神父の願いとは裏腹に、
遠回しに大量殺人をしてしまったお話。
魔人に限らず、
お互いの意味のすり合わせは必要である。
