僕は、とある工業専門学校に通う物質工学科所属の3年生だ。
現在、大学への資金を集めるためにコンビニでバイト中だ。
そんなある日の午後。
僕「いらっしゃいませー」
ふらりと入ってきたその女は、
死んだ魚のような目をしていた。
そして30秒もしない内に、
商品を持ってレジに向かってきた。
僕「〇〇(台所用洗剤)が一点、
××(風呂用洗剤)が一点。
以上で####円になります」
女性は黙ってお金を出し、
店を出ようとした。
僕「ありがとうございまし…」
僕(待てよ。あの組み合わせ…もしや自殺するきなんじゃ!?)
僕「店長!用事が出来たんで帰ります!」
僕は返事も聞かずに店を飛び出した。
あの女はどこだ…
いた!!
もし自殺する気なら、説得して止めないと…。
女は、
信号が赤なのにも気付かず
道路を横断していた。
僕「あっ、危ない!!」
次の瞬間…
キキィーッ
ドンッ
女はトラックと衝突し、
荷物ごと宙を舞い、
鈍い音と共に落下した。
僕は急いでその場に駆け寄った。
僕「おい、君!しっかりしろ!」
運転手「大丈夫か!?嘘だろ…俺が人を轢くなんて…」
僕「そんなことより、救急車だ!
おじさん(運転手)は意識の確認をしてくれ!」
運転手「わ、わかった」
僕「…もしもし、いま△△号線の交差点で事…」
僕・運転手「う…ゴホッゴホッ」
バタッ…
私は、何とか一命をとりとめた。
心肺停止でかなり危なかったみたいだ。
自殺は、
親や友達に説得され、
もうしないと誓った。
そして、
私が巻き込んで殺してしまった二人の為にも、
これからを一生懸命生きようと思う。
【解説】
トラックと衝突し、
洗剤がぶちまけられ、
その洗剤が混ざってしまった。
その混ざった洗剤から有毒ガスが発生し、
『僕』と『運転手』が有毒ガスを吸引。
女性は心肺停止していたため、
呼吸をしておらず、助かった。
『僕』の通報で場所がわかった救急車が駆けつけたときには
すでに薬品による化学反応は終わったあとで、
ガスを吸い続けた二人はすでに死亡し、
女性は病院に運ばれ助かった。
『僕』は手を差し伸べようとして
完全に巻き込まれてしまった形。
それにしても、
有毒ガスってこんなに即効性があるものなのだろうか?
語り手は有毒ガスに関する知識があったのだから、
異変を感じたらどうにかできたと思うのだが…
気づかないうちに蝕まれていくのだろうか?