私は姉と2人暮らしだが、
今日は姉の帰宅が遅くなるらしい。
最近、うちのマンションの周りでは物騒な話が絶えない。
私はそんな話をあまり気にはしていなかったが、
私はエレベーターから降りて先に家に帰ると念のため戸締まりをし、
姉の帰りを待った。
午前0時を回ったところで、
突然ドアのベルを誰かが鳴らした。
ピンポーンピンポーン
と早く開けろと言わんばかりに鳴らし続けている。
私は姉が帰ってきたと思いドアを開けようとしたが、
ふいに近所の人の話を思い出した。
「1人の時はすぐにドアを開けちゃいけないよ。
相手が誰なのか確認してから開けなさい」
しかし、
そんなことを考えている間にベルは鳴り止んでいた。
ドアの覗き窓からのぞいてみても、
誰もいない。
私はとりあえず姉に電話をかけてみようと思い受話器を手にとったが、
その瞬間またベルが鳴り始めた。
ピンポーンピンポーンピンポーン
ドンドンドン!!
今度はドアまで叩いている。
………
ピンポーンピンポーンピンポーン
再びのベルで私は我に返った。
私は震えながら受話器を元に戻し、
思いきって声をかけた。
「ど、どちらさまですか**!?」
………
………
返事はなかった。
ドアの覗き穴から再び覗いてみると
青い顔をした姉が立っている。
姉の帰宅にホッとする一方、
何かあったのかと私はドアの鍵に急いで手をかけた。
【解説】
姉は不審者から逃げ、
「早く開けて!!」とドアを叩いていたけれども、
不審者に捕まり、殺されてしまった。
語り手が最初に覗き穴で覗いたときは
その場で姉は殺されていた。
もう一回覗き穴から覗いた時の青い顔をした姉は
すでに死んでしまった姉。
犯人が死んでしまった姉を持って
覗き穴から覗かせていた。
ドアを開けた語り手は
殺されてしまうだろう。
ピンポンの連打や
ドアを叩かれるのは恐ろしくて
ドアを開ける気にならないけれど、
危機が迫ったときには
こういうことをしてしまいそうだなぁ…