暗い暗い闇の中。
私は考える。
何故ここにいるのか。
私は私の存在意義を自問自答した。
しかし、考えずともそれは決まっているのだろう。
何週間、何ヵ月、何年もの月日が流れ、それでも私は考え続けた。
そしてようやく全てを理解した私は光を求めた。
闇を必死で掻き分ける。
服が汚れようが、そんなこと構いはしない。
ようやくたどり着いたそこは、またしても暗闇だった。
それでも動じる事はなかった。
数年間愛用していたこの服も脱ぎ捨てた。
時は満ち、闇が光へと変わった。
全てを理解した私は別に驚きはしない。
そう思っていた。
しかし、現実を目の当たりにした私は悔やんだ。
決して無駄な時を過ごした訳ではない
分かっている。
この素晴らしい光を見てしまっては、悔やまずにはいれない。
なんという残酷な現実なのだろうか。
運命を呪った。
眩しく輝く光の中。
残された時間で何をするかなど考える事もなく、私は泣いた。
声が枯れるまで悔やみ、泣き続けた。
【解説】
セミのお話。
セミは地中に5年以上いて、
地上に出てからは1週間と言われている。
セミがどんなことを思って
鳴き続けているのか考えると
少し悲しくなってしまう。