おれには最近、彼女ができた。
町でナンパした女で、ものすごい美人だ。
おれは面食いなので、
顔さえよければ他はあまり気にならない。
彼女とはこの間キスまで済ませており、
次の段階に進もうってところだ。
今度ドライブと称して、
ラブホテルに連れ込もうと秘かに企んでては、
おれはにやにやとしていた。
しかし、すごい偶然というのはあるものだ。
実はサヤカの家はおれの家とそう離れていなかったようだ。
おれの家の風呂が壊れてしまい
近所の銭湯に行った際に、バッタリと出くわした。
「あら、偶然ね」
風呂から脱衣所に出てきたおれを見て、
サヤカは驚いたように声をあげた。
おれはそのまま固まって動けなくなったが、
サヤカは動じることもなく、
裸のおれを上から下までじろじろ見てから言った。
「いい身体してるじゃない。
でもちょっと…小さいのね」
声を失っているおれに、さらにとどめの一言。
「まあ、私にはそんなこと関係ないけど」
言葉の意味を理解し、
おれはみるみるうちに青ざめた…。
【解説】
語り手の彼女は女性ではなく、男性だった。
そして、語り手は彼女が銭湯で男湯にいたことから
初めて彼女ではなく彼氏であったことに気がついた。
最後の彼女の言葉の意味は
「語り手のお尻を狙っている」
ということ。
男性にとっては恐ろしい限りであろう…