私と妻は共働きだ。
どちらも始発に乗らなければいけないので
朝は一緒に家を出るが、
帰りは私が遅くなることの方が多い。
今日も一緒に家を出た。
しかし仕事中、
私は急な体調不良に襲われ、
やむなく早退し帰路についた。
外の空気で癒されたのか、
家に着く頃には体調もすっかり元通りになっていた。
こんなことなら早退なんてするんじゃなかったな。
軽く後悔するものの、
今となってはもう遅い。
せっかく早く帰ったんだし、
今日は俺が料理でも作るか。
私は念のため、妻にメールを入れた。
『具合が悪くて会社を早退させてもらったんだが、
もうすっかり良くなったんで、
今日は俺が夕食を作るよ』
すると、すぐに返信が来た。
『あら、大丈夫なの?
珍しいわね、あなたが料理してくれるなんて(^^)
明日、今度は私が体調崩さないといいんだけど(笑)』
バカにするなよ、と少し不満に思いながら、
私は携帯電話をテーブルにおいた。
すぐ横に、今日の郵便物が散らかっている。
妻は、たまにこういう大雑把なところがあるのだ。
仕方ないな、と呟いて郵便物に手を伸ばしかけたところで、
私はある事実に気づき急いで家を飛び出した。
【解説】
語り手も奥さんもどちらも始発に間に合う時間という
朝早くに出ている。
しかし、
『今日の郵便物が散らかっている』
では、誰がこんなことをしたのか?
語り手は誰かが家の中に入り込んでいると考えて、
そのまま家を飛び出した。
もしかしたら屋根裏に住んでいる人がいるかもしれない…。
意外と屋根裏に住んでいるという話を聞くから恐ろしい…。