俺の友達に
Kというオカルト好きがいた。
ある日Kが俺に見て欲しいものがあると言って
ビデオテープを渡してきた。
なんでも幽霊がでるというある廃トンネルに
真夜中にネットで知り合ったオカルト仲間とともに行ったらしく
そのトンネル内をKが撮影したものらしい。
見てみると
Kとオカルト仲間達が薄暗いトンネルを
ライトで照らしながら歩いていた。
するとKが
「そこで止めてくれ」
俺は慌てて一時停止ボタンを押した。
「左端の方をよーく見てくれ」
見てみると
子供が背中を向けて立っていた。
かなり不気味だ…
「言っとくけどやらせじゃない
マジだぞ」
なんか胡散臭いな~と思いつつ
このビデオを別の友達に見てもらおうと思い
Kからビデオを借りた。
そして友達に先入観無しに見て欲しかったので
何の説明もなく
「見て欲しい」
と渡した。
その晩から友達から電話がかかってきた。
「ビデオ見たよ
心霊スポットを撮影したんだろ?」
「そうKが撮ったんだ。
何が写っているかわかった?」
「子供だろ?
あれなんか胡散臭いよな」
「そうそう、
あれたぶん人形か何かだな」
「まー不気味であることは変わりないけどね。
なんかすごい目が光ってた」
「でもKはやらせじゃないって言い切るだろうな」
「アハハハハ」
と言いつつも
内心あれは本物かもと思っている俺だった。
【解説】
語り手が見たときは
『子供が背中を向けて立っていた』
だったはずなのに、
友達は
『なんかすごい目が光ってた』
と言っている。
つまり、語り手のときは背中を向けていたのに、
友達が見たときはこちらを見ていることになる。
だから、語り手は
『内心あれは本物かもと思っている俺だった』
と言っている。
とはいえ、語り手は違和感止まりなんだろうな、と。
語り手は背中、友達の時はこちらを向いている。
そのことに気づかず、違和感止まりだから、
『本物かも』と思っているだけだと思われる。
気づいていたら、
「え…?目が光ってた…?」
なんて反応になるだろうから。
私が語り手だったら怖すぎて、
そのまま友達の家に泊まりに行きたくなりそうである。