俺はマジシャン。
マジシャンになって4年目になる。
今までミスばかりしてきたが、
ついに大舞台に立つ時が来た。
この日をどれだけ待ち望んだことか。
今日は今までの成果を存分に発揮し、
名だたるマジシャンの一員になる。
演目は水中脱出。
水と泳ぎが苦手な俺も、
練習に練習を重ね、
水恐怖症を克服した。
水中での溺れた振りの演出もバッチリだ。
観客のハラハラドキドキ顔が目に浮かぶ。
俺を舞台上から呼ぶスタッフ。
俺は控え室から出て、
マジックショーの舞台上へと向かった。
今日、俺は日本中に注目されるだろう。
さて、そろそろオレの出番かな。
ん?何だこのカギ?
お、スゴい喚声だな。
まるで悲鳴じゃないか。
そんなにスゴいマジックやってるのか。
俺も参考に見に行くかな。
俺は控え室のテーブルの上にあったカギをポケットにしまい、
マジックショーの舞台裏へと向かった。
【解説】
登場人物は
前半、中盤、後半の3人。
前半の登場人物は
練習に練習を重ねてきた水中脱出を行った。
しかし、中盤の登場人物がカギを見かけ、
後半の登場人物がカギをポケットにしまったように
前半の登場人物は脱出のためのカギを忘れてしまった。
そのため、スゴいマジックをしているのではなく、
水中でもがき苦しみ、
おそらく動かなくなって死んでしまったため、
観客は悲鳴をあげている。
後半の登場人物はカギを発見し、
後で持ち主に返そうと思ってポケットに入れたが、
そのカギがなかったために脱出できずに死んでしまった前半のマジシャンの容疑をかけられてしまうだろう。
前半のマジシャンのミスであったのに
容疑をかけられてしまう後半の登場人物。
疑惑はどうやってかけられるかわからないから恐ろしい…。