ある小さな村の端にある一軒の家、
そこが俺の家だ。
俺には一つ、悩みがある。
それは村一番と言っていいほど、
全くモテないことだ。
原因はわかっている。
この、顔。
ある日、一人の老人が訪ねてきて、
水を一杯くれと言ってきた。
俺は、老人が腹を空かしているのでは、と思い、
昨日の残りのスープとパンも与えた。
すると老人は、
「ありがとう」
と言い、
「実は…」
と話し始めた。
老人の話はこうだった。
自分は魔法使いで、
どんな願いも叶えることができる。
何か願いはないか?
俺は悩みを話し、
自分を村一番のイケメンにしてくれと頼んだ。
すると老人は、
なにやら呪文を唱え始めた。
そして唱え終わると、
明日を楽しみにと言い、
俺の家を後にした。
その日の夜、
俺はウキウキした気持ちで眠りに入った。
そして朝を迎え、
俺は起きるなり、
いつもはあまりみない鏡の前に立った。
でもそこには、
昨日となんの変わりのない俺の姿があった。
俺はものすごくガッカリした。
でもその日から、
俺は村一番の人気者となった。
【解説】
魔法使いの老人の魔法で
村の男がみんな語り手よりもブサイクになった。
しかし、周りがブサイクになっただけで
そこまで人気者になるだろうか…?
もしかしたら、周りはブサイクを通り越して、
「生理的に受け付けない」レベルにまで達していたのかもしれない…
そういう状況を想像すると、
ものすごく恐ろしく感じてしまう…
村としては存続できなくなるだろう…