「んぁぁぁ~っ。
やっぱり、お外は良いわねぇ~。」
4歳になる息子が、
はしゃいで走りまわっている。
もうじき1歳になる娘は、
それを見て、キャアキャア言って楽しそう。
もっと、早くに連れて来てあげたら、良かったな…。
夫の転勤でアメリカに家族全員で移り住んだのは良いけれど、
言葉もわからないし、
周りに知り合いがいるわけではないし…で、
少し引きこもり状態になっていた私。
子供たちのためにも、
ちょっとずつ外出しようかな。
ということで、
今日は近所の公園デビュー。
さすがアメリカ、
公園のサイズが半端ない。
恋人同士のイチャイチャ具合も、
日本はまずあり得ないわね。
それを見ていた息子が、
ニコニコしながら、
「ママ、好き~♪ん~♪」
って、
4歳にしては、
大きな身体で抱き付いてくる。
ホント、誰に似たのかしら?
「ママも好き~?」
と小首を傾げて、
自分とおんなじ様にするよう要求してくる。
「はいはい。
ママも大好きよ~♪ん~♪」
周りにいたおば様達が、
「Oh♪Littleboy friend♪」
「Kissing pretty lovers♪」
と微笑みながら、
囃し立ててくる。
娘も負けじとぽてっ。
よちよちとやってくる。
娘は、息子と逆で小さい。
男の子と女の子の違い?
普通、女の子の方が大きいっていうのにね。
娘も「マ~。」って。
はいはい。
直ぐにお兄ちゃんの真似したがるんだから。
「はいはい。ママも大好きよ~。ん~♪」
すると、さっきまで、
微笑んでいたおば様達が血相を変えて、
怒鳴り始めた。
1人は、携帯で何処かに電話掛けてる。
そんなに早口で言われても、
わかんないってば~。
かろうじて、
聞き取れた単語が、
「Child Abuse」
えっ。虐待?
どうして~。
と、呆気にとられている間に、
私は、警察に身柄を確保され、
子供たちと離された。
間もなく、
主人が迎えに来てくれたけれど、
子供たちとは、
まだ一緒に暮らす許可がおりていません…。
【解説】
赤ちゃんの口の中には虫歯菌が存在しないため、
3歳未満の子供に虫歯を感染させる行為=キスは避けましょう
と言われている。
つまり、虫歯菌を感染させた語り手の行動は
虐待と認識されてしまった。
アメリカは虐待対策が徹底しているため、
この場合通報しなかったら
周りのおば様達が罪に問われてしまうのだとか。
文化の違いは恐ろしい…