ある村に占い師がいた。
恋愛や健康などの日常的な占いなどお手のもの。
その年の作物の出来まで当てる事が出来たため、
村人からは大変有り難がられていた。
ある日占い師の元に一人の男性が現れた。
「僕の恋人、どこにいますかね」
見慣れぬ若者であったため詳しく聞くと、
少し離れた城下町で家業である酒場の手伝いをしているらしい。
腕の良い占い師がいるとの噂を聞いて寄ってみたとのことだ。
「ふむ、恋人か…
既にそなたが会った事がある人物だそうだ。
案外近くにいるとも出ている」
若者は驚いた様子を一瞬見せたが、
お礼を言い出ていった。
若者が帰るのを見届けた後、
水晶に映し出されるものを見て占い師は狼狽した。
次の日占い師は姿を消した。
【解説】
男性の
『僕の恋人、どこにいますかね』
は
「僕の(殺した)恋人、どこにいますかね」
と言う意味。
男性は自分の殺人が占い師にバレるのかどうかをチェックしにきた?
占い師には
『ふむ、恋人か…
既にそなたが会った事がある人物だそうだ。
案外近くにいるとも出ている』
と言われてしまったため、
恋人の死体を隠した場所がバレてしまう、
そして犯人は自分だと気づかれてしまうと思った。
『水晶に映し出されるものを見て占い師は狼狽した』
と、狼狽しているのは
男性が口封じに占い師を殺そうとしている姿を見たため。
だから
『次の日占い師は姿を消した』
ここまで腕の良い占い師がいるのであれば
一度見てもらいたいものである。
どこかに腕の良い占い師はいないだろうか・・・