残業を終えて停留所で待っていると、
しばらくしてバスが来た。
空いてる後ろの座ると、
一番前に座っている女性と目があった。
その女性は顔を赤らめながら、
終始、俺の方を見ていた。
あれ?もしかして……俺に気があるのか?
まんざらでもない気分になった俺だが、
あまりにも見つめて来るので、
周りの乗客の事も考えて、
周りの乗客の事も考えて、次の停留所で降りた。
まだ心臓が高鳴っている。
ふと前方を見ると、
テールランプが5回光った。
【解説】
『一番前に座っている女性』
バスで一番前に座っている人は「運転手」
つまり、語り手に一目惚れ、
もしくは前から語り手のことを好きだった運転手は
次の停留所までずっと後ろを向いたままで、
前を見ずに運転していた。
そのため、語り手は
『周りの乗客の事も考えて、次の停留所で降りた』
『まだ心臓が高鳴っている』
は恋愛感情ではなく、身の危険を感じた為。
『テールランプが5回』
は
「ア・イ・シ・テ・ル」のサイン。
停留所で降りた時点だと
「自分を見つめていると思ったけれどきっと気のせいだ!」
なんて思えるけれど、
テールランプまでやられてしまったら、
気のせいとは言いづらくなってしまう。
この運転手はストーカーの気質がありそうなくらい行動力があるため
語り手はもしかしたら
今後この運転手にまとわりつかれるかもしれない・・・。