俺は難しいと有名な迷路に入った。
どうせうわさだけだろうと思いながらその迷路に入った。
だが入ってみると意外に難しく迷ってしまった。
そこで俺は思い出した。
「壁に手をあてて行けばゴール出来る」
思わず大きな声を出してしまった。
その瞬間笑われたような気がしたが、
これを思い出した喜びで気にせずに進んだ。
【解説】
『壁に手をあてて行けばゴール出来る』のは
スタート地点から始めた場合。
途中から始めてしまった場合、
グルグルと回り、
無限ループに陥る可能性がある。
そのため、
『その瞬間笑われたような気がした』
というのは、
愚かだと笑われたためだろう。
ただ、スタート地点から壁に手を当てて進んでも
ゴールにたどり着けない場合がある。
エレベーターや隠し扉なんてものがあれば、
このやり方ではゴールできない。
また、ゴールやスタートが
迷路の中央部にあった場合も
このやり方ではゴールできない。
壁に手を当てて進むのは
スタート地点とゴール地点が
壁で繋がっていないと意味がないやり方なのである。
語り手は
『難しいと有名な迷路に入った』
と言っているため、
もしかしたら立体の迷路かもしれないし、
ゴールが壁で繋がっていないかもしれない。
そうなるとスタート地点だろうが途中からだろうが、
壁に手を当てて進んでもゴールできることはないことになる。
果たして語り手は何時間この迷路に彷徨うのだろうか…
『壁に手をあてて行けばゴール出来る』
ということを信じ続ける限り出られないのだが、
「出るにはこれしか方法がない」と考えて
延々と彷徨い続けているかもしれない。
スタッフの人に見つけてもらうまで…。