大学に入って、サークルに入って、皆とワイワイする。
これぞ大学生っしょ(笑)
夏休みを利用して、
サークルメンバーと合宿中。
2泊3日で、
カップルが出来た奴、
失恋して落ちてる奴、
青春だよなぁ~。
最終日の夜、
サークルのメンバーで肝試ししようって話になった。
皆、『え~』って言ってたけど、
まんざらでも無い様子。
ルールは男女一組で、
ちょっとした林の中にある神社の賽銭箱の脇に、
名前の書いた札を置いてまた戻ってくるというもの。
当然、置いた札は翌朝回収するんだけど。
男女の組は自由。
俺もペアを探すことにした。
最近入ったコかな?
1人の女の子がグループの傍で輪に入れずにいたから、
声をかけた。
俺『一緒にペア組まない?』
『いいよ。でも、怖くないの?』
俺『大丈夫だよ、お化けなんていないから。
いたら俺が守ってあげるって』
って、俺、カッコいいんじゃね?(笑)
『ちゃんと守ってよね』
俺『まかせとけって!』
よし。
肝試しが終わった頃には、
俺にもカノジョが出来るかも。
淡い期待を抱きながら、
肝試しがスタートした。
一組、また一組と男女のペアがスタート地点に戻ってくる。
女の子が男にしがみついているペア。
逆に、男が女の子にしがみついているペア。
情けないなぁ。
男ならシャンとしろよ!
熱くなれよー!(修造風)
最後に俺たちの番になった。
サークルのメンバーから、
『ま、いいか。あとはお前だけだ。行ってこい!』
『楽しんで来いよー!』
『ははは(笑)行ってらー』
皆、盛り上がってるなぁ。
俺『よし、行こうか』
『うん』
俺たちは寄り添いながら神社の賽銭箱のある位置まで行き、
札を置いて、また戻ってきた。
道中、特にこれといったこともなく、
すんなり賽銭箱の所まで着いた。
意外にも、俺とペアを組んだ子も怖がる様子を見せず、
プチハプニングを期待していた俺には、
ちょっと残念だった(笑)
でも、名前を書いた札を無くしたって言ってたから、
少しは怖がってたのかな。
最後に皆で集まって記念撮影。
【パシャッ!】
こうして肝試しも終わり、
9人でのテニスサークルの合宿も終わった。
翌日の帰りの電車は、
グループ予約で席が決められていたので、
決められた席にそれぞれ着いた。
楽しかったけど、疲れた。
俺は空いた座席にカバンを置き、
カバンからデジカメを取り出して、
昨夜の肝試しの記念に撮った集合写真を見ることにしたのだった。
【解説】
テニスサークルの合宿は9人。
そのため、
一人だけペアを組めないはず。
サークルのメンバーの言葉も
『あとはお前だけだ』
と、「お前たち」と言っていないことから、
語り手は一人だと見られている。
つまり、
語り手とペアを組んだのは
この世の人間ではない。
『いいよ。でも、怖くないの?』
というセリフは
肝試しが、ではなく、
「私が怖くないの?」ということ。
語り手は最後に集合写真を見て、
ペアを組んだ女の子が映っていないことに気づき…
恐怖に駆られるのか、
それとも想いを馳せるのか。
気になるところである。