僕はチキンのくせに怖い話が大好きで、
毎日のように学校に行っては怖い話をしたり聞いたりしていた。
ある時友達から、
お風呂場に関する怖い話を聞いた。
今まで聞いてきた怖い話となんにもかわらない普通の話。
ただ、その怖い話を聞いた人はとりつかれてしまう
というものだった。
放課後僕はさっきの話を思い出し、
少し怖くなったので急ぎ足で帰宅した。
いろいろ考えているうちにそんな話は気にならなくなった。
家についた。
親はいなかった。
そういえば両親は仕事で遅くなると言っていた。
仕方なく用意された夕飯を独りでたいらげ、
お風呂に入ろうとしたそのとき、
友達から聞いた話を思い出してしまった。
こういう話は独りになると急に怖くなる。
チキンな僕は家中の電気をつけてお風呂に入った。
僕はお風呂に入ると大きな声で歌い出した。
恐怖をごまかすように。
しかし何分たっても変わったことは起こらなかった。
いつもどおりお風呂を出た。
親はまだ帰って来ていない。
僕は手で壁をつたって部屋にもどった。
【解説】
『チキンな僕は家中の電気をつけてお風呂に入った』
のはずなのに、語り手がお風呂から出ると、
『僕は手で壁をつたって部屋にもどった』
と書いてあるため、真っ暗だったのだろう。
親も返ってきていないようだが、
電気を消したのは一体何者なのだろうか?
こういうのは気づかないのが一番幸せ…。
でも
『その怖い話を聞いた人はとりつかれてしまう』
というのであれば、今後語り手の身に何かが起こるかも?