俺が昔通ってた小学校は少し田舎にあり、
各学年に一クラスしかないような小さめの学校だった。
そこでは当時「廊下の鏡」って噂が流れてた。
夜中の学校の廊下の真ん中に現れる巨大な鏡。
それを見た者は死んでしまう。
といったありがちな感じのものだった。
3年生のホラー好きだった俺はその噂を聞き、
友達を二人誘って早速次の晩親に黙って学校に行った。
鏡はすぐに見つけられた。
俺たちの教室にたどり着く手前で廊下を塞いでいたのだ。
ちょうど廊下の中央に位置している。
鏡には当然自分の姿が映っていた。
俺「噂は本当だったんだな!」
友達は返事をせず、真っ青な顔をして少し震えていた。
何が怖いんだか。ただの鏡じゃねーか。
と思いつつ鏡をよく見てみた。
鏡には教室の横に置いてある黒板消しクリーナーや、
教室の扉の上に付いている3―1と書かれたプレート、
天井からぶら下がっている電灯などが映っている。
そこで俺はやっと気付いた。
鏡には、友達二人の姿が映っていなかったのだ。
俺は友達を置いて家まで一度も振り返らずに走り切った。
翌日、3―1の教室の側で二人の児童の遺体が発見された。
俺はすぐに転校した。
【解説】
『各学年に一クラスしかないような小さめの学校だった』
『3年生のホラー好きだった俺は』
というところから、
語り手の教室は『3-1』であることがわかる。
『廊下の鏡』は
『俺たちの教室にたどり着く手前で廊下を塞いでいた』
はずなのだが、
『3―1と書かれたプレート』
が映っていた。
しかし、鏡が教室にたどり着く手前の廊下を塞いでいたのであれば、
『3―1と書かれたプレート』
が映るはずはない。
となると鏡に似ていたが、
向こう側が見えていたということになる。
なので、
『友達二人の姿が映っていなかったのだ』
のは当然ということになるのだが…
なぜ語り手だけが映っていたのだろうか?
考えられることとしては、
語り手にそっくりな何者かが向こう側にいたため、
語り手は自分が映り込んでいると思っていた。
しかし、実際は殺人鬼なのか幽霊なのかはわからないが、
鏡に映っている語り手の姿ではなく、
別の何かであった。
語り手は即座に逃げ出したため助かったが、
友達二人はその場に残ってしまったため、
殺されてしまった。