残業中、膝に違和感を覚えた俺は、念のため病院で診てもらうことにした。
翌日、A病院の医者は俺の膝を診るなり、
「これは…悪性の腫瘍かも知れない。場合によっては切断も…」
ちょっと!切断なんて冗談じゃない!
医者の中には業績を伸ばすためワザと大袈裟に伝える輩がいるらしいからな。
俺は医者の制止を振り切って、B病院へ向かった。
終了時間ギリギリだったが、なんとか受付を済ませ診察を受ける事ができた。
すると今度の医者は一目診るなり、疲労による軽い炎症だと診断した。
あ、危なかった…あのままさっきの医者を信じていたら、足を一本失う所だった。
「最近、残業が続いてね…知らぬ間に疲労が溜まっていたのかな」
「残業は良くない。私は絶対にしませんよ」
【解説】
『残業は良くない。私は絶対にしませんよ』
B病院の医者は残業が嫌ですぐに診断が終わるように
適当に診断結果を出した。
『一目』しか診ていないしね…。
実際はA病院の診断通り切断しなければいけない状況であるのに、
語り手は『軽い炎症』と信じてそのまま生活することになるため、
どんどん蝕まれていくだろう。