俺は刑事をやっている。
ある日、不可解な事件がおきた。
その事件は
ある病院で一人の植物状態の患者Aさんを医師が腹を切り、
胃の一部をひきちぎり殺してしまったという事件だった。
私はその医師の取り調べをすることになった。
取り調べ中
医師はずっと俯いたままだった。
俯いたまま
医師は事件の経緯をはなしはじめた。
事件から一週間前。
うちに一人の患者がきた。
それがAさんだった。
その時Aさんはまだ植物状態になってはいなかった。
しかし、Aさんは急に発作を起こしはじめた。
その時病院内はバタバタしており
そのAさんの対処は看護師に任せた。
その時、
看護師に薬の投与をどうするかと聞かれたときに
大きな間違いを犯してしまった。
その間違いのせいでAさんは植物状態になった。
しかし、医師はそれを看護師のせいにしていた。
そして、その騒動から何日がたった時だった。
いつものように診察をしてる時に
医師にはなしかける声がした。
「よぉ、俺を植物状態にしてくれた医者さんよぉ」
医師は驚いた。
しかし、その声は
診察をしてる医師にしか聞こえなかった。
これはおかしいとおもい
内視鏡検査をしたときに驚きのものを見てしまった。
声が聞こえたのは胃のほうだったから
そこを重点的に見ていたら
人の顔をした腫瘍が見つかった。
しかし、そのことは誰にも言わなかった。
そして何日かたったとき
Aさんの奥さんが他の病院に移すと言いはじめた。
その時、医師は思った。
もし、移されたらまずい…
そして、その夜
医師はAさんの腹を切り
その人の顔をした腫瘍をひきちぎった、
と話した。
だから、私は
「そのひきちぎった一部はどこにやった」
ときいた。
そしたらまた話しはじめた。
その切ったときに看護師が来てしまったから
咄嗟に口に入れて飲み込んだんだ、
と話した。
そう話し終えたときだった。
「ガタッ」
「すいません、寝ていました」
そのとき私は思った。
「声が違う」
いったい誰が今まで話していたんだ……
【解説】
寝ていた医師の代わりに話していたのは
腫瘍だった。
この話は事実だったのか、
それとも腫瘍がでっち上げた話なのか…
この話をどう扱うのか少し気になるところである。
「腫瘍とはいえ、身体の一部だし、
そもそも腫瘍が話したなんて誰も信じないから、
これを証言としよう」
となるのかな?