【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ

【意味怖】意味がわかると怖い話を読んで頭の体操を!捉え方は人それぞれであり、答えは一つであるとは言えません。解説も答えではなく、一つの捉え方。あなたがどう捉えたかを教えていただけると幸いです。


【意味怖】相棒

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俺は今、巷で話題になっている連続殺人鬼だ。

 

すでに両の手で数えられないほどの人間を殺した。

 

にも拘らず、警察は未だに俺の尻尾を掴めていない。

 

警察が能無しというわけではない。

 

俺の相棒が優秀過ぎるのだ。

 

なぜなら、俺の相棒は亡霊なのだ。

 

それも超の付く凶悪殺人犯の。

 

ロケーションの下見、証拠隠蔽、凶器の補充、
その他諸々の作業を代行してくれる。

 

相棒と出会ったのは、
確か俺が二人目の犠牲者を出した時だ。

 

血に染まり快楽に溺れていた俺の前に突然現れ、

 

『こんなやり方じゃ、すぐにバレて捕まるぞ。
今日から俺がお前をバックアップしてやる』

 

と顎に手を当てながら言われたんだっけか。

 

それ以来、相棒とは常に一緒に行動し、
殺しのノウハウ等も教わったのだ。

 

先に述べたように、相棒は名高い殺人犯で、
尋常じゃないくらいの被害者を出している。

 

俺の目標は、
相棒の殺害数に並び、追い越し、
相棒より有名になることだ。

 


今日は満月か。

 

おかげで、暗い夜道でも見通しが良く、
被害者の血飛沫も鮮明に見られる。

 

そんなことを思いながらメッタ刺しにしていると、
相棒が顎に手を当てながら言った。

 

『なぁ相棒、前から思ってたんだが……』

 

「なんだい?」

 

『お前の殺し方、
なんか美学に欠けるんだよな』

 

「美学ぅ?殺しに美学なんて必要かぁ?」

 

俺は笑いながら相棒の肩に触れ……られないんだったな。

 

『何事にも美学は大事だぞ。
俺の美学は死体を丁寧にバラすことだな』

 

「それ美学って言うのかよ」

 

そんな談笑をしていると、
遠くからパトカーのサイレンが近付いてきた。

 

『この死体は俺が片付けとくから、早く逃げな』

 

「おう、いつも悪いな相棒」

 

そう言って、
俺はその場から駆け去ろうとした。

 

『あ、バカ!』

 

十字路に飛び出した俺の身体に、
車のヘッドライトが当たった。

 

反射的に目線を向けると、
速度違反した大型トラックが。

 

あ……やっべ……

 


ドンッ

 


衝突の直前、俺は相棒に突き飛ばされた。

 


事故から3週間が経った。

 

死には至らなかったが大怪我を負った俺は、
ようやく完治して今日が退院の日だ。

 

あの日以来、
相棒を見ることはなくなった。

 

俺の恩人だというのに、
別れの言葉も無しなんて薄情な奴だ。

 

まぁそれは置いといてだ。

 

次に殺す人間は、
どんなふうにバラそうかな。

 

顎に手を当てながら、俺は考え始めた。

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事故にあった後の語り手は

『顎に手を当てながら』

とあることから亡霊であった相棒に変わっている。

 

『衝突の直前、俺は相棒に突き飛ばされた』

相棒に突き飛ばされたのは身体ではなく、

魂であったために相棒と入れ替わった。

 

つまり、事故の時に語り手と相棒が入れ替わり、

語り手が死に、相棒が生き残ったということに。

 

 

 

本来の語り手は一体どうなってしまったのだろうか?

 

そこが少し気になるところである。