【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ

【意味怖】意味がわかると怖い話を読んで頭の体操を!捉え方は人それぞれであり、答えは一つであるとは言えません。解説も答えではなく、一つの捉え方。あなたがどう捉えたかを教えていただけると幸いです。


【意味怖】想い続けている人

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俺にはずっと想い続けている人がいる。

 

俺が小学生の頃
真夜中に外へ出た時に会った少女は、
月の下で美しくたたずんでいた。

 

俺は一目惚れした。

 

その日以来全く会わず
俺は彼女を想い続け10年…

 

もう一度だけ会いたい、
そう思っていた。

 


夕暮れ会社帰りの俺は花屋に入った。

 

今までこんな所に花屋があるなんて知らなかった。

 

「いらっしゃいませ花屋あやめへ」

 

かわいらしい小学6年生くらいの子がいた。

 

「何をお探しですか?」

 

「え!?」

 

ただ入ってみただけなんですが…

 

「これなんてどうです?」

 

女の子は植木鉢をもってきた。

 

今にも咲かんとする蕾がついている。

 

「きっとあなたの想いが報われますよ」

 

その時の女の子の笑顔は
不思議とあやめの花を連想させた。

 

ノリで俺はその植木鉢を買ってしまった。

 


そしてその夜部屋で寝ていると
カーテンの間からさす月が眩しくて
真夜中、目が覚めた。

 

すると
昔会った少女が窓の近く月の光の下、微笑んでいた。

 

これは夢だろうか?

 

俺は少女に近づいて
想いを伝えた。

 

少女は

 

「じゃあ一生を共にしてくれる?」

 

と聞いてきた。

 

俺はなんとも言えない喜びで

 

「勿論さ。いますぐにでも結婚したいさ」

 

と言った。

 

少女は美しく微笑んだ。

 


翌朝

 

男はまるで老人のような姿で
植木鉢のよこに笑顔で
死んでいた。

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花屋で買った植木鉢は

「月下美人」だった。

 

月下美人は一晩で咲いて枯れてしまう儚い花で、

なかなか咲くこともない。

 

そして、語り手が10年前に出会ったのは

この月下美人が人間化したもの。

 

花屋で購入した日こそ、

月下美人が咲く日であり、

そして、月下美人は人間化したことで

語り手は想い人である少女と出会うことができた。

 

そして、語り手は

「一生を共にする」ことを誓った。

 

月下美人の一生は一晩の間のみ。

 

一生を共にすると誓った語り手は

花が枯れると共に年老いていき、

月下美人が散ると共に

語り手も年老いて死んでしまった。

 

 

語り手も一緒に死んでしまったが

一生を共にしたし、

笑顔であったため、

語り手は幸せな死を迎えられたのだろう。