僕は死んだのか……？
体は浮遊感に包まれていた。
そうか、あのあと、電柱に衝突して……。
空へと上がっていく。
気がつくと、
目の前に光が揺れていた。
「審判を下す」
僕と似たような人がたくさん空に上がっていったり、
下に落ちていったり……。
「お前たちは天国へ」
僕の前にいた小学生くらいの集団は
空の更に上へと上がっていった。
「次はお前か。審判を下す」
僕の番だった。
「お前は罪を犯した。地獄へ行け」
「はい」
何故か素直に受け入れられた。
その瞬間、
浮遊感は消えて、
僕は堕ちていく。
このまま……。
「ん……？」
目が覚めると、
白い天井が見えた。
病室？
生きてる？
だって、僕は地獄行きだって……。
その時、
病室の扉が開き二人の男が入ってきた。
「意識が戻ったか」
「早速だが、逮捕する。
一生罪を償って生きろ」
その時、僕は理解した。
そして、それ以来
永遠に近い苦しみを味わっている。
【解説】
人間界は地獄の一つ。
小学生を轢き殺した語り手は
地獄行きを宣告され、
一生を生き地獄で過ごすこととなった。
人間界が地獄というのは
なんともつらい話である…
