【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ

【意味怖】意味がわかると怖い話を読んで頭の体操を!捉え方は人それぞれであり、答えは一つであるとは言えません。解説も答えではなく、一つの捉え方。あなたがどう捉えたかを教えていただけると幸いです。


【意味怖】不幸

スポンサーリンク

私は断崖絶壁に立っていた。

 

ここは自殺の名所らしい。

 

だが私に自殺する気など端からない。

 

ふと見ると
青年が今にも自殺しようとしているではないか。

 

陰気なオーラがムンムンに出ている。

 

間違いない。

 

私は声をかけた。

 

「君のような青年が自殺なんてするもんじゃない。
この世の中が嫌になるのもわかるが…
考えなおしてみないか」

 

その青年は意外とあっけなく私に従った。

 

「自分は上司や同期から半人前とバカにされ…」

 

「身の上話は結構だ。
心の傷を大きくするだけだろう。
そうだお前に仕事をやろう。簡単だ。
私の鞄持ちをしてくれないか?」

 

やはり自殺しようとするだけあって
仕事は辞めてしまっていたようだ。

 

青年はすぐに承諾した。

 

素性の知れない男だから
一応用心したがすぐにその必要はなくなった。

 

忠実に使命を果たしてくれる。

 

実に素直に従ってくれた。

 


ある日私と青年とで町を歩いていると
上から鉄骨が落ちてきた。

 

間一髪で私は災難に巻き込まれずにすんだが。

 


3日後私は原因不明の病に倒れた。

 

医者の懸命な治療ですぐに全快した。

 


こんなことが頻繁に起きた。

 

あの青年を雇ってからだ。

 

私は青年を呼び出した。

 


「なんでしょう?」

 

「言いにくいが君には辞めてもらいたい」

 

「はぁ」

 

「なんだか死神につきまとわれているような気がしてな」

 

「そうですね。よく気づかれました」

 

「なんだと?」

 

「私は死神です」

 

「とんでもないものを引き寄せてしまった。
頼むから私から去ってくれないか?」

 

「そうおっしゃるなら去りましょう。
さようなら」

 

「どこへ行く?」

 

「他の人に取り憑くことにします。
あなたにはいつか別の者が参るでしょう」

 

 

私は全てを悟りその青年を引き留めた。

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青年は死神として半人前だった。

 

そのため、

語り手を殺すことができなかった。

 

しかし、一人前の死神が来たら…

 

きっとすぐに

語り手は死んでしまうだろう。

 

それを悟って

語り手は青年を引き留めた。

 

 

語り手はこれから

どうなっていくのだろうか?

 

半人前とはいえ、

このままでは精神がズタボロになってしまうだろう。

 

しかも、相手が死神だと知っている。

 

そんな精神状態で生きながらえたとしても

その人生は決して楽しいものになるとは思えない。

 

語り手に

これからの人生は

どんなものになるのだろうか?