「今日ここに来たのは他でもない、
お前を幸せにしてやる」
「ほ、本当ですか?」
俺は人々を幸せにする幸福の神大黒様だ。
「何をくれるんです?」
「その欲張りなところを…」
「早くしてください!」
「そのせっかちなところを…」
「もう待っていられん!」
「その短気なところを…」
「力づくでもその大きな袋を奪ってやる!」
「やっ、やめろ!開けるな!」
……………………
幸福とは必要のない余計な心を取り除けば簡単に手に入るものだ。
【解説】
『幸福とは必要のない余計な心を取り除けば簡単に手に入るものだ』
と最後の一文にあるように、
幸福の神大黒様は、相手の大きすぎる余計な心(欲)を奪って、
袋に入れ、相手を幸せにしていた。
しかし、力づくで大黒様から袋を奪い、
袋を全開にしたため、袋に入っていた
多くの人の余計ない心(欲)を
全部吸い込んでしまった。
集められた欲の塊を全て吸い込んだ語り手。
ただでさえ強欲なのに、
どんな人になってしまうのか?
正直気になるところである。