最近、何者かが家に侵入し、
物が盗まれるという事件が相次いで発生しています。
目撃者はおらず、
警察は強盗事件として捜査をしています。
続いてのニュースです………
私、立花栄子は夏休みのある日、
リビングでテレビを見ていた。
ニュースでも言っているとおり、
最近強盗事件がたくさんおきてるらしい。
この間なんて友達の加奈子ちゃんの家も被害にあったんだって。
加奈子ちゃん、
大事なものを盗られたらしくて一日中泣いてたわ。
もし私が強盗犯を見つけたらたたきのめして、
盗んだ物を奪い返してやるのに。
「強盗犯、うちにも来ないかな~」
「変な事言わないの!
それより栄子、夏休みの宿題は終わったの?」
そう言ったのは私の母、立花真沙子。
「あと少し~」
私は不機嫌な顔をして言った。
「それなら早く終わらせちゃいなさい、
母さんは掃除するから部屋に行っててちょうだい」
私は自分の部屋へと行き、
当然宿題をする気の無い私は、
携帯をいじったり、
友達と電話をしたりして暇を潰した。
それから夜になり私は寝た。
しかし暑さで私は目が覚めてしまった。
私は暑かったので
冷たいジュースでも飲もうとリビングに向かった。
リビングのドアを開けると、
私は室内が少し明るいのに気づく。
よく見ると、
テレビの電源がつけっぱなしになっていた。
私は母さんがつけっぱなしにしたんだと思い
「しょうがないな~」
と呟いた。
すると急にテレビの画面が切り替わった。
私は急だったので
声をあげて驚いてしまった。
よく見ると
テレビ画面には古びた井戸が映っていた。
私は予想した。
これはあきらかにアレだと
「まさか…ね?」
すると画面の井戸から白い手が出てきた。
「きゃ…!?」
私は怖くなり、
ドアから出てすぐに閉めた。
しかし気になってしまい、
ドアを少し開け隙間からテレビ画面を覗いた。
テレビを見ると、
井戸からは顔が隠れる程長い髪をした女性が出てきた。
だんだんとこっちのほうへと近づいてくる…!
女性は一度止まると、
こちらのほうへと手を伸ばしてきた。
すると画面から手が出てきて、
最終的には女性の全身が出てきた。
女性はきょろきょろと辺りを見渡している。
私は怖くて体が震えてしまった。
そして私は自分の部屋へと走った!
自分の部屋へ戻ると
ベッドの布団に潜り込んで目をつぶる。
リビングのほうで
ガシャガシャと音がしたが気にしなかった。
しばらくすると静かになった。
私は安心したのか眠ってしまった。
朝になった。
「きゃー!」
私は悲鳴で目が覚めた。
悲鳴は母のだと分かり、
急いで駆け付けた。
するとリビングの前で腰をぬかしている母を見つけた。
「どうしたの!?」
私がそう聞くと、
母はリビングの中を指差した。
私は恐る恐るリビングを覗くと
なんとリビングにあった物全部が無くなっていた。
テレビを残して…
【解説】
強盗事件の犯人は
ホラー映画『リング』に出てくる貞子。
リビングの中にある
テレビ以外のものがなくなっていたということは
テレビ以外は全て持ち帰ったのだろう。
貞子は現代の便利道具を使いたかったのだろうか?
しかし、貞子がいるのは井戸なので
リビングにある多くのものは使えないだろう。
(そもそもそんな大量なものをどこに置いているんだ?
という話だが…)
となると、
貞子の目的は現代の便利道具を使うことではなく、
相手を困らせることだけにあるのだろう。
相手を困らせるためだけに
テレビから出てきた貞子が
せっせとリビングにあるものをテレビの中に運んでいる光景…
想像すると少し笑ってしまいそうである…
実際見ると怖そうだけど…