夜一人で歩いていると、
赤黒い染みのついた風呂敷を担いだ老婆に出会った。
すると老婆は僕に
「足はいらんかね?」
と訪ねてきた。
僕は無視をした。
しかし老婆は何度も何度も
「足はいらんかね?」
と聞いてきた。
さすがに怪しく思ってきた僕は色々な事を考えた。
(もしかしたらあの風呂敷の中には足が入っていて、
その足を僕に売るきか?)
(だったら面倒になるのはごめんだし適当に断るか)
「足はいらんかね?」
「おばあさん、僕は足ならちゃんと持ってます。
だからいらないよ」
暗い夜道に叫び声と共に
一輪の赤い花が咲いた。
【解説】
語り手は「いらない」と言ったため、
足を切り取られてしまった。
風呂敷の中に
これまで切り取ってきた足が入っている。
ちなみに「欲しい」と言ったら
足を渡されつけられてしまう。
つまり、片足がない人なら足が正常に戻るが、
両足あるなら3本になってしまう。
つまり、見た目が妖怪のようになってしまうということ。
今の世の中で
3本足は受け入れてもらえるのだろうか…?
対処法は
「あの人が欲しがっていた」
などと他に人になすりつけること。
でも、
「いらんかね?」
と言われたら、つい
いるかいらないかで答えてしまうものである。