私のピアノの習い事から帰るついでに、
母と車で暗い夜道をドライブしていました。
助手席に私。
運転席に母。
何気ない会話をしながら
夜道を進んでいく車。
しばらくして
私は少し違和感を覚えた。
さっきから母が、
チラチラとバックミラーを見ている。
私「どうしたの?お母さん」
母「……もしかしてお友達も一緒に帰る予定だった?」
私「え…何で?」
母「いや…別に何でもないわ」
少し気まずい雰囲気になる車内。
すると突然、
ドンドンドンッ!!!!!!!!
窓ガラスを叩く沢山の音。
私「きゃああッ」
(誰かが車を追いかけてきてるの?)
母「やっぱりいる…!!はやく帰ろう」
(お母さんの言う"やっぱり"って…)
ドキドキ…
とてつもない恐怖が襲ってくる。
目をつぶったまま
はやく家につけ、と何度も願う。
さっきの叩く音は一回だけでやんだ。
無事に家についた安心感が
これ以上ない幸せに感じた。
私「なんだったんだろう…」
母「後ろの窓ガラスを叩く音だったよね…」
母と私はそっと車から降り、
後ろの窓ガラスの方へと、歩みを進めた。
私「な…なにこれ…」
白い小さな手形が、
一面にたくさん、力強くつけられていた。
母「……子供の霊…
幼くして命を落とした、
子供達の怨念なのかな…」
私は少し悲しい気持ちになっていた。
だが、
私「ちょっとまって…」
私「この手形…内側から付いてる…………」
【解説】
窓ガラスを叩いていたのは内側から。
つまり、幽霊と思われる者たちは内側にいたことになる。
似たような話はよくあるけれど、
これが実話だというのが一番怖い。