【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ

【意味怖】意味がわかると怖い話を読んで頭の体操を!捉え方は人それぞれであり、答えは一つであるとは言えません。解説も答えではなく、一つの捉え方。あなたがどう捉えたかを教えていただけると幸いです。


【意味怖】落ち武者の亡霊

スポンサーリンク

監禁**日目―

 

毎日パンを与えられている。

 

私はいつになったらここから出られるのだろうか‥?

 

いや、もういっその事死にたい。

 

私の村では今
古くから伝わる落ち武者の亡霊が現れ
子供達を次々と殺害する事件が起こっていた―

 

しかし、私は見てしまった。

 

亡霊の正体は兄であった。

 

殺人鬼と化した兄は
腰を抜かし身動きのとれなくなった私のメガネを叩き割り
侍の鎧を着せ、山奥の廃屋の小屋に監禁したのだ。

 

受け入れ難い現実と
窓1つ無い部屋での監禁。

 

そしてパンの毎日で
気がおかしくなってしまいそうだ。

 

しばらくして…

 

兄『食え』

 

私は兄に言われた通りにパンを食べた。

 

すると兄は、
私の手足の縄を解き
小屋から解放した。

 

兄『出ろ』

 

!?

 

私は小屋を出た。

 

何日ぶりだろうか。

 

辺りは真っ暗だった。

 

私は目が悪く、
兄の表情は全然見えなかったが
きっと良い方向に進んだのだと無理矢理自分を納得させた。

 

私は殺されなかった。

 

監禁も終わった。

 

自由だ!

 

兄もきっと、何か気変わりがあったに違いない!

 

私はとにかく村に戻る事にした。

 

何十年も育った土地だ。

 

何となくでも帰れるもんだ(笑)

 

嬉しくて仕方なかった。

 

村にはいつもより灯りが多く、凄く見つけ易かった。

 

ザワザワと人の気配も多く感じる。

 

もう少しで村に入るという所だった。

 


村人1『いたぞー!落ち武者だー!』

 

村人2『なにぃ!!殺せぇ!すぐに殺せぃ!!』

 

??

 


立ち止まり
村を見つめる私に容赦ない仕打ちが飛んできた。

 

ドゥン!ドォン!ドォーン!!

 

ひ!ひぇぇ!

 

私は撃たれたようだ。

 

しかし幸いにも玉は当たらなかった。

 

走った。

 

村とは逆方向へ懸命に走った!

 

その途中
どこへ帰ればいいのか解らない不安がどっと押し寄せてきて
涙があふれた。

 

だらしなく泣く私は
気がつくと
元の廃屋に戻ってきてしまっていた。

 

勇気を出してドアを開けると兄がいた。

 


兄『おかえり。お前、結構しぶといな』

 


??

 


ただいま。


兄 さ……

 


私は目を開けたまま
地面に横たわっていた。

 

体が軽く、楽になる感じがした。

 

でもやっと
気持ちも楽になった。

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

語り手は死んでしまった。

 

パンに毒が入っていたため。

 

兄は語り手を落ち武者に仕立て上げようとしていた。

 

そのため、

鎧を着せて村に行かせ、

村の人達に確認させた。

 

そして、その後、

毒による自殺に見せかけた殺しで

語り手は死に、兄は助かった。

 

 

妹を迷いなく殺せる兄が怖いが、

そもそも殺人鬼と化している時点で、

何も感じないのかもしれない。

 

実際にこういう人は存在するのだろうと思うと

正直恐ろしい。