犬。
私はご主人様に遣える忠実な犬だ。
名前はカイ。
ご主人様が呼べば何処へでもいく。
遣えているのだから、当然のことだ。
たまに、褒めてくれればそれでいいんだ。
そばに居れるだけで、
それだけでよかったんだ…
2日前
［カイー］
ご主人様が私を呼んでいる！
私はすぐさまご主人様のところへ向かった。
［tgamd.D8jm2m3dg.］
ご主人様が何を言っているかは解らない。
しかし、名前だけはわかる。
［mtp.adカイ］
何か解らなかったが
私はとりあえず返事として吠えた。
くしゃくしゃと頭を撫でられた。
嬉しかった。
ガチャン
どうやら私は留守番を任されたようだ。
…
……
………
もう夕暮れだ。
ご主人様はまだ帰らない。
ジリリリリンジリリリリン
今は懐かしい黒電話が鳴る。
家政婦が電話をとり、話を聞いていた。
何やら真剣な表情になり、
どんどん強ばっていった。
電話を切ると
猛ダッシュで家を飛び出して行った。
どうしたんだろう。
1日が過ぎた。
騒がしくて目が覚めた。
沢山の人が家に来ていた。
私は泥棒だと思い、吠えた。
すると、家政婦に小屋に閉じ込められた。
暫くしてやっと出してもらえた。
沢山の人は、居なくなっていた。
代わりに、居間には大きな箱があった。
家政婦はそれを見て泣いている。
私には、よく解らなかった。
ご主人様の書斎へ私は行った。
全て片付けられ、
何も残っていなかった。
何故だろう。
解らない。
どうして片付けられているのだ？
ご主人様はまだ帰らないのか？
また1日が過ぎた。
今日も足音がうるさく、目が覚めた。
今日は皆静かだった。
皆泣いていた。
箱の前に座って、皆黙っている。
上の方にはご主人様の写真があった。
なんで本物じゃないんだろう？
意味が解らない。
箱は外へ運ばれ、
家政婦は着いて行った。
私は寝転んで、
ご主人様の帰りを待った。
一向に帰って来ない。
玄関に隙間が空いていたので、
私はそっと出た。
［カイー］
あ、ご主人様が私を呼んでいる。
行かなきゃ。
少し痛みがはしったあと、私は気を失った。
暫くして、目が覚めた。
ご主人様が目の前にいた。
おかえりなさい
ご主人様。
【解説】
犬のカイはとても忠実なため、
ご主人さまに呼ばれれば本当にどこにでもいく。
死んでしまったご主人さまはそれを利用して
カイを天から呼び出し、車に轢かせた。
少しの痛みで済んだのは即死だったため。
ご主人様は自分の寂しさを紛らわすために
カイを殺したのだろうか？
しかし、カイは喜んでいるため
それで良かったかもしれない。
それにしても、一番の不運は
車で轢いてしまった運転手だろう…。
