私は小学一年生の女の子
私はお父さんが大好き
お母さんがどんなに叱っても
お兄ちゃんが意地悪しても
お父さんだけは優しく
頭をなでて慰めてくれる
前に犬に吠えられて
泣きそうになっていた
私を見て
お父さんは私のために
犬を黙らせてくれた。
お父さんは犬のしつけだって
できるのよ?
お兄ちゃんに怖いDVDを
無理矢理見せられたときだって
お父さんは飛んで来て
DVDを折ってくれた
それから2、3日後
お兄ちゃんは
どこかの寮?だかに
行ってしまったらしい。
昨日はお母さんに
たくさん怒られた。
でも、お父さんに
「お母さん、怖いの」
って言ったら
お母さんに話をしにいってくれた。
そういえば、お母さんは
昨日から温泉旅行に行ってるらしい。
いいなぁ
とにかく、お父さんに
「怖いの」
って言えば、
必ず何とかしてくれるの。
でもね、今日は
お父さんの大事なツボを
壊しちゃったの
お父さんはカンカンに怒ってて
許してもらえそうになかった。
だからね、お父さんに言ったの
「お父さん、怖いよ」
って。
お父さんは少し悲しそうな顔をしたけど、
また微笑んで、ごめんねって言ってくれた
やっぱりお父さんは優しくて大好き!
お父さんはその後
お風呂に入るねって言って、
台所で何かゴソゴソした後に
お風呂に行ったのよ。
でも、もう何時間も経っちゃってる
きっと寝ちゃってるのね。
お兄ちゃんもお母さんも
お風呂で寝ちゃう人だから。
お父さんも多分寝ちゃってるの
この前は
お兄ちゃんとお母さんを
お父さんが
起こしに行ったんだけど
今日は誰もいないから
私がお父さんを起こしてあげなきゃ。
【解説】
父が語り手である娘が怖がるものを全て壊し、
殺していた。
そして、その父は娘に
『お父さん、怖いよ』
と言われたため、
お風呂で自殺した。
もはやここまでくると、
父親が自ら行っていたというよりも、
語り手である娘になんらかの力があったのでは…?
なんて思ってしまう…