俺は友人のYと一緒に、
以前に発見した廃屋に、
肝試しに行くことにした。
俺が山道を車で走っているときにたまたま発見した、
人目につかないところにひっそり建ってる、
『いかにも』な廃屋だ。
俺とYは、
わざわざ深夜を選んで、
その不気味な廃屋に踏み行った。
山道に車を止め、
2人とも懐中電灯を持ち、
車では通れないあぜ道を10分ほど歩き、
廃屋に向かう。
俺もYもビビリではないはずだが、
暗さと静けさで、
否がおうにも恐怖ムードは盛り上がる。
『カサッ』
『うおぁぁぁぁぁッ!!?』
『……ビクッたぁ…しょ、小動物か何かだろ…は、ハハッ…』
『まったく、お前らビビりすぎだよ(笑)』
『そ、そういうお前だってめっちゃビビってるじゃんか…(笑)』
二人で顔を見合わせて苦笑いしてしまった。
しばらくして、廃屋についた。
よーし、これからがメインイベントだ。
『なぁ、二人で手分けして探索しようぜ!』
『お、おう、いいぜ。じゃあ俺は2階を見に行くよ。お前は1階な』
『へへ、お前ビビってんじゃねーの?
いっちょにたんけんちまちょうかー?(笑)』
『う、うるせーな!(笑)
だ、大丈夫だっての!』
『しばらくしたら合流しようぜ』
『おう、了解だ。お前こそチビるなよ(笑)』
『う、うるせー!(笑)』
ガサゴソ…
ガサゴソ…
『ケッ、ビビったのが馬鹿らしいぜ。
慣れてきたら、あんまり何も無くてつまんねーな。』
ガサゴソ…
ガサゴソ…
『よう、そっちどうだった?』
『う~ん、なんか思ったほど面白いもんは無かったなあ。お前は?』
『ああ、俺のほうも別に…って感じだったなあ。お前は?』
『ん?俺はけっこう楽しかったぜ、な?』
『うん、また来ような!』
ザクザクザク。
来た道を帰る。
『じゃあ、車出すぞ~』
『いやあ、しかしお前らビビりすぎだって(笑)』
『お、俺はビビってないぜ!』
『お、俺だって!なぁ?』
『いいやビビってたよ(笑)』
『うん、ビビってたね(笑)』
『でもまた来たいよな?』
『そうかあ?思ったほど面白くなかったけどな?』
『ああ、俺ももういいや』
『いや、俺は良かったぜ。また来ようよ』
『うん、来ようよ来ようよ』
『僕もまた行きたいなァ』
『私もまた来てほし~い!』
『ねえ、また連れて来て♪』
『え、えぇ~…そこまで言うなら…ナァ…♪』
『おいおい、お前は女に言われたら来るのかよっ!(笑)』
アハハハハハハ!
こうして楽しい夜は更けていった。
【解説】
二人で来たはずなのに人がかなり増えている。
しかし、それに全く気づいていない。
実は最初の方で人が増えていたようだ。
最初の方の会話で
『まったく、お前らビビりすぎだよ(笑)』
と言っているため。
増えたのは幽霊だろうか?
語り手達にしか見えないのだろうか?
語り手たちはどこかに連れて行かれるのだろうか?
このあとが非常に気になる終わり方である。