私は精神科をやっています。
最近、息子の引きこもりの事で
カウンセリングを受けたいというお宅が
近所に引っ越してきた。
息子は友達がいなく、
学校にも行っておらず、
引きこもりをして何年にもなるらしい。
ある日、
息子は耐えられなくなり自殺をした。
父はすぐに受け入れたそうだが、
母は泣き崩れたそうだ。
息子が亡くなり半年がすぎようとしていた。
するとあのお宅から、
ちょっと来てほしいという電話がきた。
私は不思議に思った。
息子さんは亡くなられたんじゃ…と。
その家族の家に行ったら、父が迎えてくれた。
息子の部屋のドアを開けたとき私は驚愕しました。
ベッドに横たわっているただのマネキンに怒鳴り付けている母。
父はこう言った。
見てほしいのは、
現状を受け入れられなくなった母です。
【解説】
息子が死んだことが受け入れられず、
マネキンを息子だと思いこんでしまった母。
これからは息子ではなく、
母のカウンセリングを行うことになる。
子供の死を受け入れられず、
人形やマネキンを子供だと思いこむ話はよく聞く。
思い込みの強さは世界を変える強さがある。
良くも悪くも。