【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ

【意味怖】意味がわかると怖い話を読んで頭の体操を!捉え方は人それぞれであり、答えは一つであるとは言えません。解説も答えではなく、一つの捉え方。あなたがどう捉えたかを教えていただけると幸いです。


【意味怖】正当防衛

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僕は探偵をしている。

 

そのせいもあって
常に危ないやつらから狙われているから家はない。

 

そのかわりにと言ってはなんだが車がある。

 

僕にとっては家みたいなもんだ。

 

その車をとばしながら
僕の昔話をはなそう。

 

これは十年前の話だ

 

僕の親はよく喧嘩をする。

 

ただ喧嘩してるだけならいいけど
それは僕にもとばっちりがきたりする。

 

そんなある日のこと。

 

僕は親を殺してしまった。

 

いつもみたいに喧嘩のとばっちりで僕をぶつ。

 

僕は黙ってぶたれ続けていた。

 

それでいつもなら終わるのに今日は違う。

 

父が僕が
「何見てんだ?」
って……

 

「その目で見てんじゃねぇ!」
と言いながら僕を蹴ったり、殴ったりしてきた。

 

ついには近くにあったダンベルで僕を殴ろうと振りかぶった。

 

僕は間一髪で避けた。

 

…殺される。

 

そう思った瞬間に
頭に「殺らなきゃ、殺される」って浮かんできた。

 

僕はとっさに落ちていたビール瓶で父を殴った。

 

「てめぇ、誰を殴ってやがんだ」

 

そういって僕の方へ歩いてきた。

 

母は黙ってる。

 

僕は死ぬの?
こんな理不尽な理由で?

 

…嫌だ。
生きたい!

 

その「生きたい」の感情が勝ったとき
僕の目の前には父が倒れていた。

 

手には生温い液体が付いていた。

 

僕は我にかえり、
目の前で血を流して倒れている父を見て気を失ってしまった。

 

次に目が覚めたのは病院のベッドの上だった。

 

それからは警察官に事情徴収されたり、
テレビをつけると僕のことがニュースになったりしていた。

 

判決は「無罪」だった。

 

正当防衛?ってやつみたいだ。

 

母が証人になってくれていたみたいだった。

 

今はそんなことどうでもよかった。

 

僕はなんてことをしたんだ。

 

後悔なんてそんなもんじゃない。

 

あの生温い温もりが今もこの手に残っている。

 

警察の人も病院の先生も皆が皆揃っていう。

 

「君は悪くない」

 

僕はあの時に何で感情に負けたんだろう…

 

あの時に素直に……

 

そんなことばかり考えていた。

 

あの日から母は明らかに僕への対応が違った。

 

優しくなったのだ。

 

そう、中身ない優しさ。

 

毎日決まって僕にこう言う。

 

「何か思い出した?
少しでも思い出したらお母さんに言ってね♪
あなたの力になりたいからよ」

 

って……

 

今となっては少し思うこともある。

 

まあ当日の僕はそんなことを考える余裕がなかったからなぁ。

 

ちなみに母は今も僕の家にいる。

 

すっかり昔とは違ってしまっているが元気にしているよ。

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

語り手が殺したと思っていた父は生きていたが、

語り手が気を失っている間に

母によりとどめをさされていた。

 

だから、母は語り手に

『何か思い出した?』

と毎日聞いていた?

 

事実がばれるのを恐れていたから。

 

そして、その事実に語り手が気づき、

母を殺害。

 

車(家)に詰め込み

移動していた。

 

つまり、

語り手は探偵と言っているが、

実は殺人犯として逃げていた。

 

だから、

『常に危ないやつらから狙われている』

=警察から狙われている

 

 

語り手が母を殺したのには

複雑な想いがあったんだろうなぁ…