ある少年が交通事故にあった。
ひき逃げで、
犯人が東京から高知まで逃亡したという事もあり、
ニュースで大々的に報道された。
「昨日7月1日、悲惨な交通事故が起こりました。
田中陽一君、12歳が軽自動車にはねられました。
昨日は日曜日という事もあり、目撃証言も少なく、
少年の回復を待って事情を聞く方針です……」
そのまま、少年は目を覚まさなかった。
だがその数ヶ月後、
警察の捜査の甲斐があり、
犯人と思われる男が逮捕された。
男は飲酒していて、ひき逃げをし、
自宅に帰ってからニュースを見て大事になったと気付いて、
高知まで逃げたのだった。
犯人逮捕のニュースが流れても、
少年は目を覚まさなかった。
そして月日が流れ、
彼はようやく目を覚ました。
そして、医師に聞いた。
「先生、今日は何月何日?」
医師は彼の方を見て答えた。
「今日は7月1日。日曜日ですよ」
【解説】
少年が交通事故にあったのは
7月1日の日曜日。
そして、目が覚ましたのも
7月1日の日曜日。
2018年7月1日が日曜日。
では、次の7月1日の日曜日は?
2029年である。
ということは、
仮に2018年7月1日に交通事故にあったとしたら
11年後に目を覚ましたことにになる。
交通事故にあった日と同じ日に目を覚ましたのであれば、
そこまで重症ではなかったのかもしれない、
なんて思うかもしれないけれど、実際は11年後。
身体も弱ってまともに動けないだろうし、
11年も経っていたら
周りは大きく変わっているはずだから
そのときの恐怖は相当なものだろう。
もしかしたら、それ以上寝ていた可能性もあるのだが…。
自分が知らないうちにものすごい時間が経っていたら
異世界に迷い込んでしまった気分になってしまいそうだ。