「ニャー」
(元気な猫だな。
ボンネットの上で寝てるなんて…)
「わたくし、探偵をしております、
佐久田と申します」
「あ、今回はお世話になります。
依頼した河野と言います」
「寒いですね~。
冬ですし当たり前ですか…」
「まだ8時なのに仕事が早い。
ま、玄関で話すのもあれですし、
お入りください」
今回の事件は妻の失踪らしい。
今日の朝からだそうだ。
普段はそんなことする人じゃないのだそうで
不安になって依頼したのだとか。
後でちゃっかり帰ってきても
報酬は払ってもらえるそうだ。
状況の整理といこう。
朝起きると妻がいなかった。
そんなことする人柄ではない。
通帳や財布やケータイなど、
生活に必要となりそうなものは家に残っている。
「なるほど、
新聞をとりにでて拉致された可能性が考えられますね~」
(何かひっかかるな…)
凶器は見つかっていない。
「では、今日はこの辺で。お邪魔しました」
数日後、
被害者は山奥で発見され、
依頼主のご主人が捕まった。
【解説】
冬なのにボンネットで猫が寝ている。
ということは、
ボンネットがあたたかいということ。
ボンネットが温かいということは
車で動いていたことになる。
つまり、ご主人が車を走らせ
奥さんを山奥に放置していた。
冬に何日も山奥に放置されていたら、
ご主人に殺されていなくても
すでに奥さんは死んでいるだろう。
猫がきっかけで犯行がバレたのだろうか?
ただ単純にボンネットが大好きな猫で
ご主人は無実だとしたら恐ろしい…。